2008年度の運用成績は+55.22%、「投信王」優勝者がとった戦略とは

» 2009年04月18日 23時01分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 日興アセットマネジメントが主催するバーチャルトレード選手権「投信王」(参照記事)。10億円の仮想資金を日本株で運用し、成績を競うというもの。2008年4月1日からの1年間で優秀な成績を収めた参加者たちの表彰式が4月17日、東京証券取引所で開催された。

 2008年度の株式市場は大荒れだった。2008年3月末に12525.54円だった日経平均株価は、当初は新興国需要への期待などもあり上昇。しかし夏ころから、不動産業のアーバン・コーポレーションの破たんなどを受けて徐々に下落した。そして、9月の米リーマン・ブラザーズの破たんをきっかけに、10月の株式市場は史上に残る乱高下。10月には日経平均株価下落率ワースト20に入る暴落を6回、上昇率ベスト20に入る暴騰を4回も記録した。

 年が変わってからも株式市場は低迷していたが、米国の官民投資プログラムの発表などを受け、年度末にかけて上昇。結局、2009年3月末の日経平均株価は8109.53円(前年度末比−35.26%)となった。

期間中のTOPIX(東証株価指数)推移(出典:日興アセットマネジメント)

 最悪とも言える投資環境だったが、投信王に通年で参加した1515人の平均パフォーマンスは−29.2%と日経平均株価のパフォーマンス(−35.26%)を上回った。しかし、大荒れの市場環境に抗うのは難しかったようで、プラスリターンを達成できたのはわずか22人だった。

 1515人の参加者の頂点に立ったのはHN(ハンドルネーム)「T-111」さん、55.22%という驚異的な運用成績を記録した。投資の秘けつを尋ねられたT-111さんは、「東証一部銘柄を全部抜き出し、短期・中期・長期のトレンドをExcelで調べて、トレンドが反転しそうな時に買いに入った」と話した。春(2008年4月〜6月)に4位、夏(2008年7月〜9月)に3位とスタートダッシュに成功したT-111さんは途中から独走状態に入ったが、「(「投信王」として表彰される)5位以内を目指していたので、とにかく5位のパフォーマンスだけを気にしていた」という。

 2位はHN「猫島君夫」さんで運用成績は36.19%、3位はHN「山種」さんで27.11%、4位はHN「ハクション大魔王」さんで25.59%、5位はHN「田中有馬菜々」さんで22.59%。この5人は「投信王」として表彰され、日興アセットマネジメントのファンドマネージャーの採用面接を受ける権利を与えられた。4月24日までに採用試験への応募の意思を伝えると、5月7日から面接が行われる。応募の意思を尋ねたところ、表彰式に不参加だった猫島君夫さんと、別会社のファンドマネージャーに内定していた大学4年生の山種さんを除く3人が意欲を見せていた。

左から田中有馬菜々さん、ハクション大魔王さん、ビル・ワイルダー社長、山種さん、T-111さん

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