ロックギタリストはなぜ、音楽サイトの編集長になったのか(後編)――BARKS編集長・烏丸哲也さん嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(3/6 ページ)

» 2009年04月18日 11時15分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]
「Born to be wi-dol」でデビュー

 活動の当初は、「ザーマスおばさん」「ルックス命」「いかれた女が大好き」などといったコミックバンドと受け取られかねない楽曲名が目立つが、それは、どういう理由からだったのだろうか?

 「我々は、音楽そのものに対しては極めて真摯(しんし)だったと思うんです。アンサンブルやアレンジにすごくこだわりましたしね。でも正直言って、社会的発言(をすること)には全然興味がなかったんですよ」。確かに、1960年代のベトナム反戦運動以降、日本を含む世界各国で、ロックミュージシャンを中心に、反戦平和を掲げる例が急増し、20世紀末からは、それに地球環境保護が加わるようになってゆく。

 中には、心の底からそうした思いを抱いて活動したアーチストもいただろう。その一方では、そうした社会的発言をすることがミュージシャンとしてカッコイイ、あるいは注目されやすい、ということで、ファッションやポーズとして取り入れるケースも少なからずあった。

 そうした音楽界の現状に違和感を覚えた烏丸さんたちは、それを揶揄する意味も込めて、一見おちゃらけたような曲名をつけたのだろう。「でもプロデビュー後は、マネジメント側から、徐々に軌道修正をかけられましたけどね」(笑)

 ファン層は、主に、どういう人々だったのだろうか?「若い女の子が中心でしたね。アンサンブルがしっかりしていてうまいという評価を頂きました」

 この頃ちょうど、技巧をウリにするバンドが増え、烏丸さんたちもそうしたバンドの1つとして業界から位置づけられるようになってゆく。しかしそうなると、またまた彼らの反骨精神はうずき出す。

 「そんな見方をされるのに反発して、足先でギターを弾くなど突っ張ったマネをしていました」。ボーカルの葛城哲哉さんが行っていた、立ったまま右足で弾く「らいとあんよ奏法」が、それである。

 世間一般のイメージとして、ミュージシャンは異性にモテると思われがちだが、実際問題、その辺はどうなのだろうか?

 「モテますよ! バンドの仕事というのは、カッコイイと思わせることにある訳ですから、そのバンドの方向性にハマる女の子には、当然、モテる訳です」とうらやましいことをさらりと言ってのけた。

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