行政と連携した交通ICを目指す――福岡市交通局の「はやかけん」神尾寿の時事日想・特別編(3/3 ページ)

» 2009年04月15日 12時16分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
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はやかけんのカード。サービス開始の記念カードとして、色違いのバージョンも作られた

 こうした地域商店街や地域サービスとの連携は、はやかけんが特に重視している領域であり、そのために必要な機能も盛り込まれている。フェリカポケットマーケティングが提供する「FeliCaポケット」(参照記事)だ。

 FeliCaポケットは低コストかつ簡単に、ポイントや会員証サービスなど付加価値サービスを構築できるソリューションパッケージであり、全国各地の自治体や商店街、病院などで採用された実績を持つ。福岡市交通局ではこのFeliCaポケットをはやかけんに組み込み、「地域活性化のために活用していきたい」(調氏)という。

 はやかけんのFeliCaポケット活用の事例は、すでに始まっている。その最初の事例となるのが、児童の安全を守るための小学校向けの安心・安全サービス「見守りタッチ」だ。

 これは学校と駅のリーダーライターではやかけんをかざすことで、親のケータイに子どもの居場所をメール通知するというもの。今年4月から7月まで福岡教育大学附属福岡小学校と福岡市立箱崎小学校でモニター試験が行われる。サービスイメージとしては、以前に筆者が取材した立命館小学校のPiTaPa児童証に近い(参照記事)

駅改札機。相互利用開始までは、「はやかけん以外は利用できません」の注意書きが添えられる

 こうした安心・安全分野での活用以外にも、サイクル&ライドやパーク&ライドなどエコ分野での活用、地域商店街でのFeliCaポケットを使ったポイントや会員サービス実現など、地域住民のための交通ICカードとしてサービスを拡大していきたいという。

 「福岡市交通局としては、公共交通の利用促進をし、地域全体の活性化を考えていきたい。そのためのツールとして、はやかけんの普及・活用を考えていきます」(調氏)

 交通ICサービスは全国の公共交通事業者に広がっているが、"公営の公共交通事業者"として交通ICの利用を考える、はやかけんのスタンスはとてもユニークだ。西鉄・JR九州の交通ICと併存する中で、はやかけんがどのように成長していくのか。今後に注目したい。

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