銀行決算への懸念が薄らぎ大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年04月10日 08時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

 前日の引け後の欧州銀行の決算や朝方発表された米銀の決算が好調と伝えられたことや大手銀行のストレステスト(資産査定)で全19行がテストを通過しそうだと報じられたことから、金融株への不安が薄らぎ大幅高となりました。朝方から買い先行で始まった後も買戻しを交え、小売業の売り上げも比較的底堅い堅調なものが多かったことなどから物色対象も広がり、ほぼ全面高で最後まで堅調な地合いが続きました。原油価格の上昇なども信用収縮懸念が薄らいでリスク許容度が増したことを示し、買い急ぐ要因となりました。

 経済指標や決算動向に底堅さが見られ、過度な悲観論を修正する動きとなっているようです。底入れ確認と言う状況ではなく、まだまだ決算動向をにらみながら一喜一憂する展開が続くのでしょうが、センチメントが上向いており、芳しくない決算など悪材料よりはちょっとした底堅さが見られる決算などに敏感に反応、強含みの展開となって来るのではないかと思います。徐々に売り物をこなしてダウ平均で9000ドルを超えてくれば底入れ確認に近い状況となって来るのでしょう。まずは銀行株の底堅さを確認して8000ドルを固める動きとなるのでしょう。

 個別にはウェルズファーゴが過去最高の四半期決算を発表して3割超の上昇、連れてバンクオブアメリカも同様に3割超の上昇となりました。JPモルガンチェースやシティグループ、アメリカンエクスプレスなど金融株が軒並み大幅高となりました。既存手売上高が予想ほど悪くなかったということでJCペニーやターゲットなど小売り株が予想を下回ったウォルマートを除いて大幅高となり、投資判断の引き上げのあったアップルも堅調、ハイテク銘柄も高いものが目立ちました。原油高を受けてエクソンモービルやシェブロンなど石油株も高く、キャタピラーが大幅高となるなど景気敏感株も高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前日の大幅下落の反動や米国株高に加え、寄り付き前に発表になった機械受注が予想を上回ったこと、また、政府の追加経済対策が具体化されたことを好感して買い先行で始まり、いったんは節目で上値を押さえられたものの、先物のまとまった買戻しなどから一段高となりました。ディフェンシブ銘柄の一角を除いてはほぼ全面高といった状況で、特にハイテク銘柄や自動車株など輸出関連銘柄が前日の下落もあったおおは幅高となりました。日経平均も一気に昨日、一昨日の高値を抜けて戻り歩調にあることを確認した格好となりました。

 米国株が大幅高となったことから日本市場も買い先行となりそうです。為替も再び円安方向に振れたこともあり、オプションAQ(特別清算指数)算出と言うことですが、特に大きな影響はなく堅調な展開が期待されます。買戻し一巡感や週末の手仕舞い売りに上値を押さえられる場面もあるのかもしれませんが、ここまで大きく売り込まれているだけに心理的な節目と見られる日経平均9000円を抜けてくれば今度は買い方の回転が効くような形で物色対象を広げながら全面高となって来るのではないかと思います。

 節目と見られる8800円水準を抜けて、今度は心理的な節目である9000円を抜けてくるかどうかといったところですが、9200円から300円程度まではあっさりと抜けて来るのかもしれません。さすが今年の初めの高値水準9300円や昨年11月初めの9500円水準では上値も重く、達成感が出て来る銘柄もありそうですが、とりあえず9000円は抜けて来るものと思います。週末と言うことで買い戻しは早めに出て、手仕舞い売りに押されるような場面もあるのかもしれませんが、9000円台での引けが期待されます。

本日の注目点

◇3月のビール系飲料出荷量(大手5社)

◇日銀政策委・金融政策決定会合議事要旨(3月17−18日分)

◇3月のマネーストック(日銀)

◇3月の貸出・資金吸収動向(日銀)

◇2月の特定サービス産業動態統計速報(経産省)

◇3月の米財政収支

◇決算・2月期:ダイエー(8263)、高島屋(8233)、リンガーハット(8200)、チヨダ(8185)

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