決算発表に神経質になり金融不安が再燃して大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年04月08日 08時33分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>7789.56▼186.29

<NASDAQ>1561.61▼45.10

<為替:NY終値>100.37-100.43

決算発表に神経質になり金融不安が再燃して大幅下落

 IMF(国際通貨基金)が金融機関のバランスシート上の不良資産が大幅に増えるとの見通しを示すといったメディアの報道をきっかけに金融機関に対する懸念が再燃、売り先行となりました。また著名投資家の弱気発言やGM(ゼネラルモーターズ)が破産法適用の準備を進めていると報じられたことなども加わって下げを加速させる結果となりました。金融不安が再燃したことでリスク許容度が低下、原油価格などが下落して石油関連株が売られ、決算発表を控えて持高調整の売りが出たことも下落と要因となりました。

 景況感とは関係のないところで、現状の問題が噴出した格好で大幅下落となりました。ただ、ここまでしっかりと戻っていた相場がいったん調整となるといった範囲の話であり、金融不安が再燃と言っても一気にリスク許容度が大幅に低下するということでもなさそうです。決算発表もアルコアを筆頭に始まりましたが、予想通り(?)の悪い数字ではあるのですが、ある程度は織り込まれているものと思われ、逆に「思ったほど悪くない」と言うことに敏感に反応するようになるのではないかと思います。ドルが大きく売られているわけでもなく、指数が大きく下落した割には落ち着いた雰囲気です。

 個別には破産法申請の準備をしていると報じられたGMは大幅下落、連れてフォードも大幅安となりました。原油価格の下落を受けてシェブロンやエクソンモービルは軟調、景気に対する懸念や戻り売りに押されてアップル、RIM(リサーチインモーション)なども軟調となり、金融不安の再燃からJPモルガンチェースやバンクオブアメリカは軟調となりましたが、シティグループは堅調でした。景気敏感銘柄のキャタピラーなども軟調、アルコアも決算発表を控えて通常取引では軟調となるなどダウ採用銘柄のうちシティグループと投資判断の引き上げのあったマイクロソフトが変わらずとなった以外の28銘柄が下落、ほぼ全面安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株の上昇も円安も一服となるなかで小動きとなりました。基調は強含みで底堅さは見られるのですが、さすがにハイテク銘柄などが利益確定売りに押され指数の上値を押さえる格好となりました。出遅れ感の強い内需関連銘柄が堅調となり、値動きの良い低位株なども見られるなど、堅調な地合いを示す動きもありました。日米の決算動向などをにらみながらの動きとなって来るのでしょう。

 米国株が大幅下落となったことから日本市場も軟調な展開が予想されます。ただ、ここのところの戻り相場の主役の一つであった自動車株やハイテク株などは為替が落ち着いていることや政府の追加経済対策の効果に期待する動きから底堅さも見られるものと思います。一方で決算動向などが気になる時期で、芳しくない数字も発表されているのですが、ある程度は織り込み済みということではないかと思います。悪いか悪くないかではなく、「思ったほど悪くない」のか「思った以上に悪い」のかで明暗を分けることになりそうです。

 引き続き日経平均の8800円水準を保てるかどうかが注目されます。目先的には8500円あたりまでの下落で済めばまだ戻り相場は終わっていないという見方も出来るのでしょうし、大きな流れのなかでは8000円台前半から9000円台前半でのもみ合い相場の中にあるとも考えられます。いずれにしても、本日は8700円台半ば、8800円水準といった範疇のなかで底堅さが見られるのかどうかが注目されるところです。

本日の注目点

◇4月の金融経済月報(日銀)

◇3月と08年度の企業倒産(民間調査会社)

◇3月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇2月の国際収支(財務省)

◇米FOMC議事録(3月17−18日分)

◇2月の米卸売売上高

◇決算・2月期:パルコ(8251)、DCMJapanHD(3050)、さが美(8201)、エービーシー・マート(2670)

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