コラム
» 2009年04月07日 07時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:電気・ガス・水道まですべてお任せ!――ドイツのエネルギー・水道公社 (1/2)

ドイツでは電気・ガス・水道のいずれも地元のエネルギー・水道公社が管轄し、請求も一元化されている。こうしたシステムを採用するメリットは何なのだろうか?

[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及びヨーロッパの環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)


 ドイツの電気・ガス・水道料金の精算方法は、さまざまな点で日本と異なっている。電気・ガス・水道のいずれも地元のエネルギー・水道公社が管轄し、請求も一元化されているのが1つ。また、支払いは月々の銀行引き落としだが使用量の検針と精算が年にわずか1度しかない点もずいぶん違う。

 日々の生活に欠かせない電気・ガス・水道の供給を一手に引き受けるエネルギー・水道公社には、近年さらに「省エネの取り組み」と「再生可能エネルギーの支援」が社会的責務として求められるようになってきた。今回と次回は「エコ度」が強く問われるドイツのエネルギー・水道公社(以後、公社)の活動を紹介したい。

明細書を開ける時はドキドキ

 まず、我が家をモデルに電気・ガス・水道料金の精算方法を説明しよう。

 2008年の我が家の電気・ガス・水道料金は月々約140ユーロ(内訳:電気40ユーロ、ガス80ユーロ、水道20ユーロ)。この140ユーロという額は前年(2007年)の年間料金を単純に12等分して決められたものだ。ガスを暖房に使っていることから冬のガス使用量は多いはずだが、毎月の支払額はそういった変動を無視しているため同額となっている。

ah_zyugasu.jpg 住宅のガスメーター

 料金の見直しは公社が年末に行う電気・ガス・水道使用量検針の結果による(右写真)。つまり、2008年の年間使用量が2007年より多ければ2009年の月支払額は値上げとなり、逆に少なければ値下げとなる。

 こういったわけで、年に1度郵送されてくる明細書を開ける時にはちょっと緊張する。先月届いた明細によると、2009年の料金は残念ながら月6ユーロの値上げとなり、加えて2008年の不足分約70ユーロの請求書も同封されていた。年間料金はエネルギー国際価格や、厳冬か暖冬かといった自然要因により変動するので「値上がり=省エネの失敗」とは言い切れないが、いずれにしても、もっと引き締めてかからねばならないだろう。

 こういった仕組みのメリットは検針にかかる人件費が低く抑えられること。逆にデメリットは月々の使用量が不明なため、消費者が省エネを実行しても月ごとの効果が確かめられないことだろう。

前身は自治体の技術公社

ah_onkyuu.jpg 発電所から市街地へと延びる温水供給管

 そもそも、なぜ地域の電気・ガス・水道供給をたった1つの公社が担っているのだろう。

 電気・ガス・水道の3つには「日常生活で使うモノとエネルギーを、配管や電線というインフラを通して恒常的に供給する」という共通性があり、昔は自治体の技術公社が一括して行っていた。こういった歴史的な背景から、現在でも1つの公社が担っているのである。

 実は電気・ガス・水道に加え、地域熱供給も公社が担当している。地域熱供給とは発電所・ゴミ焼却工場・熱供給専用施設で造られた熱を温水として市街地や工場地帯に循環させ(右写真)、暖房・給湯に利用するエネルギー・インフラである。昔は無駄に捨てられるだけだった発電所やゴミ焼却工場の廃熱を有効利用する仕組みで環境保全に大きく寄与している。

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