米国株高や円安を好感して大幅高だが目先的な過熱感もあり上値も限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年04月06日 16時17分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 週末の米国株が堅調となったことや円安を好感して買い先行、一時、大幅高となったのですが、目先的な過熱感が強いことや物色対象が広がらず上値も限定的となりました。輸出関連銘柄は引き続き堅調なのですが、内需関連銘柄、金融株の下げがきつく指数の上値を押さえる展開となってしまいました。

 物色対象が広がらない理由を考えてみると業績云々と言うよりは新規資金の流入がない中での資金の回転の鈍さが要因となっているようです。新年度入りで新規資金の流入を期待したものの実際には出遅れ銘柄を買うというよりも出遅れ銘柄のような値動きの悪い銘柄に見切りをつけて、値動きの良い輸出関連銘柄に乗り換えるような動きが中心となっているものと思われます。

 まだ、この株価水準では中長期で保有していた人たちの回転が効いているという状況ではなく、新たな資金流入がないと買い方が買い戻しに限定されるということなのでしょう。つまり、今回の戻り相場の主体が買い戻しに過ぎないことを示しているものと思います。空売りの買戻しといった場合に日本証券金融(日証金)の貸し株が注目されますが、実際には貸し株市場から株券を調達して売るケースが多く、日証金の貸し株残高ばかりを見ていても実態を表しておらず、買戻しを把握しきれないということになってしまいます。

 実際にどのくらいから売りが入っているのかどうかはわかり難いことがありますが、逆に言えば目先のそうした動きに神経質になって右往左往するよりも相場の大きな流れを見ていれば買戻しが入りそうだ、とか、この買いは買戻しに過ぎないなどといったことが見えてくるものなのです。「相場は相場に聞け」と言うことでもないのですが、相場を「肌で感じる」ことが大切ではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.