雇用統計は芳しくないがFRBに対する期待と堅調な決算発表を受けて堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年04月06日 08時36分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

雇用統計は芳しくないがFRBに対する期待と堅調な決算発表を受けて堅調

 注目された雇用統計は失業率が8.5%、非農業従事者雇用数が66万人強の減少と1983年以降で最悪となったのですが、予想の範囲内と言うことに加え、ここのところの景気底入れ感もあり、影響はほとんどありませんでした。ただ、その後発表されたISM非製造業景気指数が前月に比べ減少、予想を下回ったことから大きく売られる場面もありました。週末の手仕舞い売りや目先的に過熱感が強かったことも売り急がせる要因となりました。ただ、個別の堅調な決算やFRB(連邦準備理事会)議長の金融機関安定に向けてあらゆる手段を取るとのコメントが伝わると今度は買戻しを急ぐ動きとなり、堅調な引けとなりました。

 まだ景気悪化に歯止めがかかり、底入れ確認と言うわけにもいかないのですが、少なくとも「最悪期は脱しつつある」と言う認識、そしてFRBに対する信頼もあり、悲観論は後退しているようです。金融不安、更なる景気悪化不安、雇用悪化不安のうち雇用不安を除けば底入れ感が出ているということでセンチメントは好転しているようです。戻りを試す段階ではありますが、ダウ平均も8000ドルと言う心理的な節目を抜けつつあり、もう一息、あと一つ二つの好材料で指数が一段高となれば、底入れ感がますます強まって来るものと思います。

 個別にはシティグループやバンクオブアメリカなど金融株が時価会計緩和やバーナンキFRB議長のコメントを受けて大幅高、好調な決算に加え、先行きにも明るい見通しを示したリサーチインモーション(RIM)が大幅高連れてIBMなどハイテク銘柄の一角が堅調となりました。景気底入れ期待からキャタピラーなど景気敏感銘柄は引き続き堅調、ウォルマートも堅調となりました。原油価格は上げ一服となりましたが、エクソンモービルやシェブロンなどは先高期待もあり堅調となっています。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株高や円安を好感して買い先行で始まり、外国人売買動向が買い越しと伝えられたこともあり、一時大幅高となったのですが週末の手仕舞い売りや為替が1ドル=100円をつけたことで達成感が出たことなどから上値の重い展開となりました。節目と見られる日経平均8800円を超えて推移する場面も多かったのですが、結局は節目で上値を押さえられた格好で小幅高に止まりました。

 先週末の米国市場が堅調となったことや円安を好感して買い先行となりそうです。週末の日本市場がヘッジ売りや手仕舞い売りに押されて上値が重かった分、買戻しや買い直しの動きもあるものと思われます。米国での景気底入れ期待もあり、引き続き輸出関連銘柄が物色されるものと思われますが、乗り換え売りの対象となっていたディフェンシブ銘柄、内需関連銘柄にも買いが入るかどうかが注目されます。新規資金の流入が見られるようであれば、これらの乗り換え対象となっている銘柄にも物色の矛先が向かうものと思われ、底入れ感が強まる要因となって来るのでしょう。

 引き続き節目と見られる8800円水準を抜けるかどうかが注目されますが、物色対象の広がり、新規資金の流入が見られれば8800円をしっかりと保つような展開になるものと思われます。心理的な節目でもある9000円を意識する場面では目先的な過熱感も出て来るのでしょうし、9000円水準を抜ける場面では達成感も出て来るものと思われます。8800円水準を本日もしっかりと保つようであれば、1月の戻り高値水準である、9200円〜300円を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇日銀政策委・金融政策決定会合(7日まで)

◇3月と08年度の車名別国内自動車販売台数(自販連)

◇2月の景気動向指数速報(内閣府)

◇決算・2月期:イオンクレジットサービス(8570)、イオンモール(8905)、ミニストップ(9946)、カッパ・クリエイト(7421)

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