JR九州の「SUGOCA」が登場――注目するポイントは?神尾寿の時事日想・特別編(3/4 ページ)

» 2009年04月03日 06時38分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 前述のとおり、福岡では来年、SUGOCA・nimoca・はやかけん・Suicaの4方式相互利用化が始まり、このタイミングでは電子マネーも相互の加盟店で使えるようになる。しかし、交通IC系電子マネーではアクワイアラが加盟店手数料の大半を得る仕組みなので、優良加盟店の開拓は電子マネー事業の最重要課題になる。福岡をはじめ九州北部では、各鉄道会社による電子マネー加盟店獲得競争が起きそうだ。

 「また、SUGOCA電子マネーは(交通ICとしての)SUGOCA対象エリア外にも積極的に展開していきたいと考えています。例えば、2009年6月には九州のam/pmが(SUGOCA電子マネーに)ほぼ全店対応します。JR九州としては、店舗側のご要望があれば、沿線エリアかどうかに限らず積極的に展開していきたい」(江頭氏)

 しかし、駅周辺エリア以外への交通IC系電子マネーの進出には、チャージ環境をどう確保するかという課題がつきまとう。そこでJR九州では「(沿線エリア外への展開は)レジチャージなどチャージ環境の確保がセットという方針」(江頭氏)を打ち出しているという。

 「SUGOCAなど交通ICカードを持っていただくお客様は、『電子マネーも使いたい』というニーズや期待も大きい。ですから、電子マネー事業も、交通ICを採用するからにはしっかりやっていきたい」(江頭氏)

交通ICを九州の「生活基盤に育てたい」

駅構内では利用促進のキャンペーンが実施されていた

 先述のとおり、福岡の交通ICカードは来年、大規模な相互利用化が始まる。これにより地域住民の利便性が高まるのはもちろんだが、それと同時に「観光客にとっても(福岡が)移動しやすい街になるというメリットも大きい」(大坪氏)という。

 「福岡には(国内の)県外から年間3000万人ほどのビジネス客・観光客が訪れています。この中でも特に多いのが首都圏から訪れる方々で、そこではSuicaとの相互利用開始による(利用者)メリット拡大の効果が大きい」(大坪氏)

 福岡では今後、3つの交通ICが協力し、時には切磋琢磨しながらサービスの拡大と洗練をしていくことになる。

 「JR九州ではSUGOCAを通じて、九州の交通と決済のインフラを先進的でよりよいものにしていきたい。交通ICを日常生活の基盤として育てていきたいと考えています」(大坪氏)

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