コラム
» 2009年04月02日 08時30分 UPDATE

人が人を嫌いになるメカニズム (1/2)

「この人嫌い!」「この人が悪い!」と、職場の人間関係に悩んでいる人も多いはず。そこで他人を責める前に、精神分析の世界でいう「シャドー」と向き合ってみてはいかがだろうか? そうすると悪い職場と思えた場所が、少しは過ごしやすくなるかもしれない。

[伊藤達夫,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:伊藤達夫(いとう・たつお)

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役、東京大学文学部卒、認定エグゼクティブ・コーチ(JIPCC)。コンサルティング会社にて食品、飲料、化学品メーカーなどのマーケティング寄りのプロジェクト、官公庁などのプロジェクトに携わる。その後、JASDAQ上場の事業会社に移り、グループ戦略、事業戦略、業務改革などに携わる。結果的に最年少でのマーケティング部門、部門長となる。ブログ「ゆるーいコンサルタントな日々


yd_furoito.jpg フロイト(翻訳:高橋 義孝、下坂 幸三)『精神分析入門 (上巻)』(新潮文庫)

 人が人を嫌いになる時、精神分析の考え方では、すべてとは言いませんが、シャドーの投影というものが起こっています。いわゆるフロイト/ユングの知見ですが、こういうことを知っていると、人を嫌いになった時、とても役に立つように思います。

 私は大学では英米文学を専攻しました。理由としては、フロイト/ユングについて勉強したかったからですね。フロイトやユングは心理学では? と思いますよね。そして、心理学だったら、心理学科がよいのでは? と思われるかもしれません。

 でも、日本の大学でやる心理学は、行動主義系か、発達心理学系の心理学なので、精神分析系のフロイトやユングは研究の中心ではありませんね。ただ、英米文学の批評の世界では、フロイト/ユングは非常に大きな意味を持っています。

 1900年にフロイトが無意識を「発見」したので、人間のある意味で合理的でない行動が説明できたり、表現に現れる無意識的な前提のようなものを分析できるようになったんですね。

 表現に現れる無意識の前提というのは、文学を考える時に大事ですよね。だから私は英米文学を専攻しました。

 文学批評の勉強をする過程で、ユングやフロイトの勉強もしていました。その時、シャドーという概念を知って衝撃を受けました。人が人を嫌いになる時、シャドーの投影というものが起きている! ということです。このことを知って、私の人生はだいぶ変わりましたね。

 どういうことか説明を試みますね。まずはシャドーについて見ていきましょう。

折に触れて目覚めるシャドー

 人は、子どものころからの成長過程で自分が不要だと思った自分の部分をシャドーというところに切り離して捨てます。例えば、母親に「あなたは人のモノを欲しがってなんてだめな子なの!」と怒られたとします。そうすると、子どもはそういう部分が自分の中にあることを否定して、捨て去る。そうすると、捨てられたものがシャドーにたまっていく。そういうものってけっこういっぱいありそうですよね。

 捨てたと思っていても、自分のパーソナリティーの中に本当は存在しているものです。そのシャドーは心の奥底に抑圧されて眠らされているんです。ただ、折に触れてそのシャドーは目覚めて人の心の中で暴れます。

 場合によってはメンタルヘルスを害するぐらいになります。そういう時に、自分が抑圧している部分を、他人が持っているかのような行動が認識されるんですね。そうすると、その人のことが大嫌いになる。

 まあ、自分が否定したものを持っている人を見て、気持ちよくはないのは分かりますよね。このファッションは嫌だなと思って、服をまとめて捨てたとして、そういう服を着ている人とはなんとなく仲良くしたくないですよね。

 実際には、その捨てたはずのシャドーの存在を、他人の中に知覚すると、非常に自分の存在が脅かされるような感じがします。そうすると、その人がその自分のシャドーを持っていることを責めたい気分になってきて、人に攻撃的になるんですね。

 それで、そのシャドーを他人が実際に持っているかどうかは、こういうときには関係ない。「持っているかのように思える」んです。その人の行動を見て、自分が否定した部分を持っているかのように思い込む、に近いですね。

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