週末の米国株が大幅安、円高、買い戻し一巡感などから買い気の乏しい相場展開で大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年03月30日 19時17分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場が大幅下落となったことや先週までの輸出関連銘柄への買戻し一巡感が出ているなかで為替が円高に振れたことから大幅下落となりました。朝方はヘッジ売りの買戻しなども見られ、底堅い堅調な始まりとなったのですが、買い手不在の市場参加者が限られたなかで、見切り売りがかさむと一気に売り崩される格好で大きな下落となりました。期末の株価も懸念されるような水準でもなく買い支えのような動きも見られなかったことで売り急ぐ動きもあったのでしょう。

 持高調整など目先的な需給に振らされる格好となりました。先週末の「北斗会」の席でも信用買い残と売り残、裁定取引の売り買いの残高をこの上げ相場の要因とする意見もありましたが、信用取引や裁定取引以外の持高調整の動きが大きかったのではないかと思います。信用取引の残高や証券金融の残高などを細かく見ている向きも多いのでしょうが、今のような相場、最近の相場では以前のような信用取引の見方をしていると少し感覚が違うのではないかと思います。

 1つは信用取引が以前よりも簡単に行われるようになったこと、また、信用取引ばかりではないのですが、売買の回転率が高く、信用取引の残高にしても中身が入れ替わっている可能性が高く、「期日向かい」などということばが死後のようになっていること、また、依然は買い方と売り方であれば、買い方は比較的持っていることが多く、売り方はさっさと手仕舞うことが多かったのですが、今の相場では必ずしもそうともいえない状況なのです。

 いずれにしても、信用取引の残高で株価の動きが左右されるようなことは最近では少なく、その日その日のポジションで動きが決まっているのではないかと思います。また、信用取引ばかりではなく、相場の見方を単純に「依然はこうだから……」と考えることは大切なことなのですが、それほど単純ではないということを頭に入れておくことがもっと大切なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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