コラム
» 2009年03月24日 11時59分 UPDATE

松田雅央の時事日想・出版&新聞ビジネスの明日を考える:日本とどこが違う?――ドイツ新聞業界の今 (1/2)

インターネットの普及による新聞購読率の減少は、ドイツでも深刻だ。下げ止まり状態にあった広告収入も、2008年秋の世界金融危機後に大きく落ち込んでいる。しかし、ドイツでは地域に根付いた地方紙が多いため、日本とは違う事情があるようだ。

[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及びヨーロッパの環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)


 新聞購読率の減少は日本だけの問題ではなく、程度の差こそあれ欧州すべての国々が抱えている問題だ。これはもう「新聞の宿命」と言っていい。PISAテスト※の成績上位国、スカンジナビア諸国は新聞購読率が高いことで知られるが、これらの国々でも日刊紙の購読率は遠からず80%の大台を割りそうだ。

※PISAテスト……OECDによる国際的な生徒の学習到達度調査。

 対照的に新聞のニュースサイトの読者は増加を続けており、とりわけ若年層の利用が目立つ。現在の状況に照らし合わせれば、(印刷)新聞と新聞のニュースサイトを合わせた新聞読者数の数え方があって然るべきと思うが、時代はまだそこまで来ていない。

 そうはいっても、ドイツにおける日刊紙の購読率は72.8%(2008年)と依然高い水準にあり、これは毎日14歳以上の市民4700万人が新聞を手にしていることを意味する。しかし、主要読者層である40〜69歳の購読率は74〜84%、70歳以上ならば83%、30〜39歳67%、20〜29歳58%、14〜19歳58%と年齢層による差は大きい。

ah_gaisin.jpg 街頭新聞(地域紙)を読む市民

2006年から2007年は堅調

 2007年の新聞発行部数は1日当たり2595万部、前年比−1.9%だった。しかし、2007年のドイツ国内新聞収入(広告収入、販売収入、折り込み広告収入の合計)は91億8000万ユーロ(1兆2209億円)と、前年より0.5%増加している。そのうち86億3000万ユーロ(1兆1478億円)が日刊紙の分である。広告収入だけをみると日刊紙は45億ユーロ(5985億円、前年比+0.7%)、週刊新聞と日曜新聞が2億7千万ユーロ(359億円、前年比+3.6%)といずれも堅調に推移している。ドイツ国内全メディアの広告費も増加傾向にあり2007年は前年比+2.0%で、全体の23%を新聞が占めた。しかし、2000年の新聞広告費の割合は29%であり、割合としてはここ数年で6ポイントも減少したことになる。

 広告費の中でも求人広告は増え方が際立っており、2007年は実に前年比+27%を記録した。他には商売の広告が+0.9%と若干増加、減少した方では自動車広告−11.1%、旅行広告は−8.0%、不動産広告−5.6%、催事の広告−3.2%、その他が−5.2%となっている。これらはいずれも全国紙、地方紙、さらに範囲の小さい地域紙を合わせたデータである(いずれもドイツ新聞協会調べ)。

ah_hankio.jpg 繁華街の売店
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