コラム
» 2009年03月19日 07時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:ちょい上の「ホテル東急ビズフォート」――成算はどこに?  (1/2)

不況の影響を受け、ちまたには低価格商品があふれんばかり。100円台のハンバーガーや1000円を切るジーンズなどが注目を浴びているが、“ちょっと上の消費の兆し”が出ているのも確か。今回は宿泊料金がやや高めのビジネスホテル――「ホテル東急ビズフォート」を紹介しよう。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・実行、海外駐在を経て、1999年より2008年9月までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。 2008年10月1日より独立。コンサルタント、エッセイストの顔に加えて、クリエイター支援事業 の『くらしクリエイティブ "utte"(うって)』事業の立ち上げに参画。3つの顔、どれが前輪なのかさえ分からぬまま、三輪車でヨチヨチし始めた。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


 みなさん、過去半年の出張は増えましたか? 今どきあらゆる経費が削減対象ですから、やはり減りましたよね。「その出張、費用対効果はあるのかね? テレビ会議で済ましなさい」と電子紙芝居をやることも。そのあおりで新幹線の乗客数は最近数カ月マイナス、ホテルの客室稼働率も大幅にダウン。サービス業も不況の影響を受けている。

 そんな市場環境下、今年のホテル新規開業はリスクが高いようにも見える。だが東急ホテルズは新ブランドホテル「ホテル東急ビズフォート」を発表、今年6月20日に那覇、7月17日に神戸、そして8月に福岡と、3つのビジネスホテルを開業する。その成算はどこにあるのか? 3月3日のひな祭りの日に開かれた記者会見に行ってきた。

ホテル東急ビズフォートの特徴

yd_naha_panprama.jpg ビズフォート那覇

 東急ホテルズは東急インと東急ホテルチェーンが2002年に統合し、2005年には東急ホテル4ブランド(東急ホテル、エクセルホテル、東急イン、東急リゾート)を展開する企業体となり、現在53ホテル1万3762室を運用する。その5つ目のブランドとして「ビズフォート/Bizfort」を開発、東京・大阪・名古屋などに30店の出店を目標にしている。

 特徴は団塊ジュニア世代の合理志向とテイスト嗜好(しこう)を反映させた、快適性を徹底追及した設備とサービス。キャッチコピーは「自分スタイルでリラックスする寛(くつろ)ぎの時間」「明日へのエネルギーをリチャージする快適な睡眠」そして「頭と身体をゆっくり休めるリフレッシュ空間」だ。

 まず設備とサービス提供を見ていこう。

 18平方メートルというゆとりある客室に、こだわりのベッド。ベッドには日本ベッドと共同開発のマットレス「NAGOMI(なごみ)」を使用している。これは、マットレスを上半身・胴からお尻・足の部分に3分割して、3種のスプリング(ソフト・ハード・レギュラー)を組み合わせたものだ。

yd_bed.jpgyd_tanmatu.jpg ベッドの固さを確かめる筆者(左)、この端末で好みの部屋を選ぶことができる(右)

 カウンターで受付後(署名は直筆)、セルフ端末機でチェックイン・チェックアウトを行う。東急コンフォート会員ならポイント管理もできて、支払いをポイントで減算することも可能。「いいなあ」と思ったのは客室選択がこの端末から自分でできること。早めにチェックインすればお好みの位置やタイプの部屋が確保できる。

 もう1つ大きな特徴は、トイレと浴室を分離独立させて浴槽を廃止し、多機能シャワーバーを設置したこと。同社ではアンケートをとったところ、出張時にはバスタブにお湯をためずに利用する客が大半を占めた。それならばとオーバヘッドシャワー、ボディシャワー、ハンドシャワーの3WAY機能を搭載したシャワーオンリーの設備に限定。このチョイスは正解だ。安いビジネスホテルの狭いトイレの便器に座り、前にあるバスタブに足が当たると、“出張エレジー(悲しみ)”にかられて寂しくなりますから。

yd_DSC00348.jpgyd_DSC00346S.jpg 3WAY機能を搭載したシャワー

 ターゲットの団塊ジュニア世代御用達の空間といえばカフェ。ビズフォートのゲストラウンジはまさにカフェ空間をイメージしている。エスプレッソや具だくさんスープで、個空間ラウンジを意識した造り。もちろん無線LAN完備で、ひょっとしたらBGMはジャズかもしれない。

 “個性重視”“おひとりさま”“自分が好き”というキーワードで語られる団塊ジュニア世代。立地もセルフ設備も湯船なしも、彼らの気持ちをつかんだサービス施設開発である。注目は客室料金だ。那覇で1万円、神戸元町で1万6000円、博多で1万2500円(いずれもBizスタンダード/18平方メートル)。ちょっと上の宿泊料金、この不況下で大丈夫だろうか?

yd_soup.jpg ウインナーポトフ
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