週刊誌が売れないもう1つの理由は、やはり中身の問題だろう。買いたいと思わせるほど魅力的に映らないのだ。週刊誌に勢いのあった時代に比べて、記事が薄い。企画モノや特集にしても、時代を感じさせるタイムリーなものが少なくなってきた気がする。それもこれも、記者も編集者もサラリーマン然として、小ツブになったためではないか。タブーを恐れず、イケイケドンドンの型破りなタイプは少なくなった。
私の周囲にも取材力のあるベテラン記者や腕のいいカメラマン、企画力のある編集者は本当に少なくなってしまった。おまけにどの週刊誌も、経費の削減で取材費は2〜3割のカット。原稿料も以前に比べてずいぶん安くなった。これではロクな取材もできないし、ほとほと愛想を尽かして週刊誌から足を洗うベテランが増えるのも無理はない。その結果、記事の中身はスカスカとなり、さらに読者の週刊誌離れに拍車をかけてしまう。そこでまた売れなくなって、経費カットで取材費をケチり……。ホント、悪循環である。
この負のスパイラルは週刊誌だけではない。新聞もテレビも、いまでは同じジレンマに陥っている。国民の新聞離れから、米国ではいくつかの名門新聞が倒産し、日本でも夕刊を廃止する新聞が目立ってきた。テレビ局も広告収入が落ち込み、人件費や制作費のカットを迫られている。ラジオ局も同様だ。電波と紙の既存メディアは大きな岐路に立たされているが、いまだ暗中模索。脱出する方法を見い出せないでいるのだ。
吉富有治(よしとみ・ゆうじ)
1957年12月生まれ、愛媛県生まれの大阪育ち。金融専門紙、地方新聞、週刊誌、テレビと各メディアを経験。現在は地元新聞で連載コラムを執筆し、『ムーブ!』(大阪朝日放送)の準レギュラーコメンテーターとしても活躍。目下のテーマは地方自治問題。著書に『大阪破産』(光文社刊)。
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