千葉などで愛される「マックスコーヒー」……なぜ全国で販売するのか?それゆけ!カナモリさん(5/6 ページ)

» 2009年03月04日 07時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

2月23日 「マックスコーヒー」33年目の全国侵攻・その勝機

マックスコーヒー

 「マジ ハンパなく バリ 甘い」。とにかく目立つクリエイティブとベタベタなコピーが目を引くポスターがそこかしこに掲げられた。2月、千葉県民・茨城県民のソウルドリンク、「マックスコーヒー」が全国に販売エリアを拡大した。

 千葉・茨城以外にも早期に埼玉・栃木に出荷され、その後徐々に一部関東圏に販売エリアを拡大していたものの、マックスコーヒーは全国的にはほぼ無名だろう。その特徴を端的に伝えるなら、まさに「マジ ハンパなく バリ 甘い」となる。

 原料の乳成分に100%練乳を用い、さらに砂糖を加えたその味はとにかく甘い。知らずに飲んだら、「これがコーヒーか!」と、心底驚くことになるだろう。その意味では「マジ ハンパなく バリ」は特徴を適確に伝える秀逸なコピーであり、適確な警告でもある。

 全国拡大に際して、ポスターだけでなく初のテレビCMも放映された。また、公式ホームページもノリノリで作られている。

 中でも、「プロジェクトMAX」と題されたコンテンツ(動画)が秀逸だ。千葉・茨城エリアを中心に30年以上もの間、愛され続けている「 マックスコーヒー」。そのやみつきになるうまい甘さを守り続けた 男たちの甘くないドラマ。

 某局のドキュメンタリーシリーズを彷彿とさせ、なんだか、中島みゆきの歌声が聞こえてきそうだ。しかし、パロディーではない。確かにマックスコーヒーを誕生させ、育て、守ってきた「男たちの」姿がしっかりと描かれたドラマなのである。

 マックスコーヒー誕生と今日までの歴史は、上記「プロジェクトMAX」と、ウィキペディアの記述を併読するとよく分かる。

 UCCなどのメーカーが缶コーヒーの販売を開始した1970年代、コカ・コーラブランドには缶コーヒーが存在していなかったが、競合は自販機に次々に設置。コカ・コーラ商品を販売する「利根コカ・コーラボトリング」が自社ブランドとして、千葉、茨城両県で販売を始めた。上記の動画の中で、当時の商品企画担当者が、自販機オーナーなどから、「缶コーヒーを入れなければ、自販機を撤去せよ」と言われたと、開発に踏み切った経緯を振り返っている。

 地域のボトラーが市場の要請に対して、「潤沢な資金のない中での開発(動画より)」をしたという、まさに地域ブランドであるわけだ。県民の支持も集まろうというものだ。

 ウィキペディアによれば、1991年に日本コカ・コーラの「ジョージア」ブランドと統合し、「ジョージア マックスコーヒー」と改名したが、味はそのまま。順調に売上を伸ばし、2006年に都内繁華街や駅及びその周辺に販売を拡大。2007年には北海道、2008年には愛知、香川・愛媛、大分、宮崎県と、販売が拡大されているようだ。

 このようにジワジワとした拡大路線であったのが、2009年に一気に全国拡大となったわけだが、ナゼ、この時期なのか。

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