千葉などで愛される「マックスコーヒー」……なぜ全国で販売するのか?それゆけ!カナモリさん(3/6 ページ)

» 2009年03月04日 07時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

2月18日 タブーに挑戦したZ会CM「わたしたちをこえていけ」

 通信教育・ Z会のCM。これがいろいろな意味でオモロイ。なにやら、やたらオッサンやオバサンが出てきては、「もうやめちゃおうかな」とあきらめかける受験生に、「私も続かなかった」「頑張ればよかった」とぶつぶつとつぶやきかけるだけ。ところがなぜかぐっとくる。

 CMは女子高生編・男子高生編があり、「できひん子」やったオッサンやオバサンが、現役の高校生に口々に自らの挫折を告白し、「チャレンジする!」と宣言する女子・男子に拍手とエールを送るという内容である。

 「(通信教育が)続かなかった」と、大勢のオッサン、オバサンが口にする様は、オッサンらと同年代である筆者も同じ挫折を経験しているところであるため、妙にトラウマをサワサワさわられているようで、気持ち悪くも忸怩たる思いでいっぱいになる。

 なんとなくオモロイと思った次には、よく考えれば「コイツはすごいCMだ!」と思った。その理由はいくつかある。

 まず、メインメッセージが「わたしたちをこえてゆけ」となっている点。「続けていれば今頃は……」などと登場人物のオッサンらが口々に言う。つまり、「こえていく」対象は、「通信教育が続かなかったわたしたち」の「死屍累々」だ。

 確かに同会は毎年東大合格者を何人も出す名門通信教育だ。「死屍累々もやむなし」かもしれない。しかし、自社の受講生の挫折率の高さとも解釈されかねないメッセージを、ここまでしっかり出せるということに、逆に大いなる自信を感じる。

 もう1つ。

 「私は続けられなかったけど」というメッセージ。下手をすればイヤミな感じになりかねない。わざとらしさが出たらアウトではないだろうか。しかし、このエキストラ的に大量に登場するオッサンらが実に自然で、ある意味、シロウト的で自然でイヤミがないのだ。聞けば、Z会の社員であるという。

 社員を起用すると、自社のサービスの質の高さをアピールしようとばかりに、不自然な演技になりがちだ。しかし、実に自然なのだ。いや、むしろ楽しそうだ。

 「挫折する人もいるけれど、続けられれば必ず結果が出る!」と、自社のサービスに強い自信を持ち、それを支える自分たちに強い誇りを持っていることが画面からうかがえる。

 そう考えると、このCMのキモは、大勢のオッサンやオバサンを演じる社員の演技が、ちょっとシロウトっぽいけれど、リアルで説得力を持っていることであることが分かる。

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