コラム
» 2009年02月27日 12時30分 UPDATE

大出裕之の「まちと住まいにまつわるコラム」:老人ホームをリノベーション――イマドキの社員寮のカタチ (1/3)

若い社員の早期退職を防止したり、団結力や意識・価値観共有のベースを提供するということで見直されつつある社員寮。老人ホームをリノベーションして社員寮にした物件があると聞いて、内覧会に行ってみた。

[大出裕之,Business Media 誠]

「まちと住まいにまつわるコラム」とは?

「HOME'Sまちと住まいの研究室」編集長、大出裕之氏が“まちと住まい”をテーマに執筆するコラム。気になるニュースや事柄、新商品や新サービスなどを取り上げ、住まいの専門家ならではの視点で語ります。

大出裕之(おおいでひろゆき):情報媒体や、PC・IT系メディアの編集を長年勤める。ついでにボランティアとして、東京商工会議所のプロジェクトXSHIBUYAを手伝い中。途中ネットベンチャーの起業などを経て、現在は住宅・不動産情報ポータルサイトHOME'Sにて、まちと住まいについてのWebメディアの運営や冊子の刊行などを行っている。「HOME'Sまちと住まいの研究室」編集長。


 そろそろ春だ。4月からの新生活を目前に新しい部屋探しをされている人も多いのではないだろうか。業界的にも繁忙期であり、HOME'S賃貸などのポータルサイトでも掲載物件数が年間で最多のシーズンとなり、お問い合わせも最も多くなる。

 中には、部屋を会社が探してくれる人もいるだろう。借り上げ社宅制度などで自分で探して一定の額を会社が出してくれるような人もいるかもしれない。今回は、会社が社員に自前の資金で提供する社宅「寮」についての最新トピックを紹介したい。

独特の世界が広がる寮

 最近、寮が見直されている。寮と借り上げ社宅の大きな違いは、寮には「ある種の集団生活がある」という点だろう。同じ建物で寝起きし、出勤し、帰宅し、食堂で食事をし、大浴場で疲れを癒やす。同じ会社だからこその気兼ねの無さと、先輩や後輩、同期との職場ではない場所でのコミュニケーション。これらが若い社員の早期退職を防止したり、その後の団結力や意識・価値観共有のベースになったりするなど、寮には「コストを払ってでも得たい価値がある」と認識されつつある。

 不動産業界で寮の話題と言えば、不要になった寮を1棟まるごとリノベーションして賃貸住宅にする事業などを行っているリビタだろう。同社のシェアプレイスは、古くなった寮を賃貸集合住宅にリノベーションする事業。コンセプトは「SNSのリアル版」で、国籍や性別を超えたコミュニケーションマンションを目指している。

 寮をベースに大規模改装するケースが多いため、食堂や浴場などの共用部分を転用した個性的な共用部が最大の特色。オール電化(リビタは東京電力グループだ)や光ファイバー・インターネット設備のほか、ラウンジ、フィットネスルーム、プールバー、シアタールームなども設置。個室はすぐに入居出来るようにベッド、デスク、椅子、カーテン、照明などがついており、半年間からの短期での入居も可能な運用を行っている。

 そんなリビタが、老人ホームをリノベーションして寮に改装したというので、その内覧会にお邪魔した。最新のコンセプトで改装したイマドキの寮「Kawasaki Renovation Project」をご紹介しよう。

ah_PICT1357.jpg Kawasaki Renovation Project

シンプルで清潔感ある共用部分

 JR川崎駅の西側は、2006年の巨大商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」オープンに伴って開発が進んでいる地域だ(ラゾーナはららぽーとと同じくららぽーとマネジメントが委託運営している)。ラゾーナの中を通りつつJR川崎駅から歩いて8分のところにKawasaki Renovation Projectはある。この辺りは、ここ数年で急に生活の便が良くなった地域と言っていいだろう。

 この物件、1992年竣工というから、さほど古いものではない。当初は個人オーナーが所有し、企業に一括で貸していた寮だった。だがその後その企業が撤退した後、老人ホームが一括で借りていた。ところがその老人ホームが撤退してしまったので、リビタが個人オーナーから買い取ったという。時代が巡り巡って、再び独身寮としての価値が見いだされたようだ。

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