145億円で「一緒に元気になろーソン」――ローソンのam/pm買収会見を(ほぼ)完全収録(4/4 ページ)

» 2009年02月26日 16時26分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]
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am/pmの店名は残していきたい

――マルチブランドという話がありましたが、am/pmという店名は今後どうなるのでしょうか?

新浪 am/pmさんの店名は残していきたいと考えています。エリアフランチャイズの方々もおられますし、加盟店の皆さまもそれがゆえにモチベーションが上がるという方もおられます。残していくのが前提ですが、これはオーナーさん次第で、ローソンをやられたいという方であれば看板を替えることもありだと思っています。

am/pmオフィシャルWebサイト

――東京都内でセブン-イレブンの店舗数を追い抜くことになることで、競争上のどんなメリットが出てくるのでしょうか?

新浪 今まではどちらかというと(店舗数が)少なかったので、囲まれてしまうんですね。囲まれて閉店になるということがあったわけですが、連携することによって持久力が上がるわけですね。粗利も相当上がってきますから、オーナーさんも私どもも収入が上がり、現在大体40〜50億円くらいの営業利益を(am/pmの店舗で)あげられると思っています。

――200店ほど不採算店を閉めたという話がありましたが、今後の店舗のリストラ、人員の削減などは検討されているでしょうか。

新浪 人員のリストラに関しては、ローソンを途中でやめられる方や、今後定年を迎えられる方もいるので、うまく調整できるというめどを立てています。店舗に関しては赤字店舗は相当閉められており、例えば直営店ももう70店ちょっとしかございません。赤字店舗など厳しいものに関しては十分オーナーさんと打ち合わせしながら、よりレベルの高いお店を(作っていこう)と思います。加盟店の皆さまと(まず)仲間になっていただく、それが最初かなと思っています。

――現状で赤字の店舗は何店ぐらいで、どの程度閉めると考えておられますか?

新浪 今の状況だと100〜200店くらいは可能性はあるかなと思っていますが、これを最小限にする方法を私どもは持っています、例えばローソンストア100にするとか。

――先ほどマルチブランドということをおっしゃいましたが、am/pmさんの店でナチュラルローソン、あるいはストア100にした方がいいと思われている店があるのでしょうか? また「どんどん出店する時代ではない」というお話がありましたが、こういった買収をまた考えているのでしょうか?

新浪 マルチブランドに関しては、具体的に言うと九段(地域)、あの辺はほとんど私ども(の店)はないのです。立地上、ある程度の客単価がとれるようなところは、ナチュラルローソンの商品を供給するコラボレーションは大いにできるのではないかなと(思っています)。

 私どもは今のままであっても、粗利が上がることによって、am/pmさんの収益が十分上げられると(思っています)。規模の経済、グループで9500店弱ございますから、それを活用すれば十分粗利益が取れる。しかし、先ほど相澤社長がおっしゃられたように「積極的にもっとやった方が、この厳しい不況の中でもより収益が上げられるお店はできる」と思います。改装や、品揃えも変えていくことによって、十分リターンがとれる。M&Aをやる上で懸念材料がない中で、これだけ時間をかけてやってきました。「確実にこのくらいやれるんだ」という確信を持って、今回やっているわけです。

 そして首都圏に関してはできることはやっていきたい。私どもは新鮮組で経験させてもらいました、taspo効果を除いて25%売り上げが伸びています。いい立地、これに関しては我々が1から作るよりも今回のような取り組みをより一層やっていきたいと考えています。

――新鮮組の売り上げ増加は看板替えの効果が大きいと思います。am/pmブランドを残しながら、どのように売り上げを伸ばされるのでしょうか?

新浪 あくまでもオーナーさんとの話し合いなのですが、我々としては「看板替えをした方が売り上げは上がるだろうな」とは思います。それはこの3年間(am/pmが)ブランドに関する投資ができなかった、状況が許さなかったからと考えています。しかし一方で、それでも(am/pmの看板で)続けるというオーナーさんは看板に対する愛着がある、(その気持ちは)きちんと斟酌(しんしゃく)しないといけないと思っています。

 また、商品に関しての投資も相当違うと思います。価格や商品の質という意味では、より向上できるのではないかと(思います)。一方、企画は大変いいものをお持ちですので、そういった企画を私どもと一緒にやれれば面白い商品がもっとできるのではないかと思います。からあげクン(参照リンク)が入るかどうかも要検討かなと思いますが、全体的には売れ筋商品をしっかり並べられるように店の品揃えを変えないといけない。こういったことを支援することで随分変わると思います。

――バリューライン(ローソンの低価格プライベートブランド)も入る予定はありますか?

新浪 店舗の立地次第で、あると考えています。いわゆる住宅立地などでは入れることができると思います。すべてのお店に現在の生活防衛型のプライベートブランドを入れるのは、大変危険です。オフィス立地に入れても、あまり意味がないですから。

――am/pmさんはエーピー・エンタのような試みもされていますが、それについてはどう思われますか?

新浪 R&D(研究開発的)な部分が多いですから、「すごくいいな」と思うものもあれば、「これはどうかな」というものもあります。しかし、(新しいことに挑戦するのは)多分(am/pm)のDNAなんだろうなと(思います)。このDNAがちょっとこの3年間厳しい状況にあったのかなと思います。

 一方私どももこういうDNAを持っていまして、新しいことは大好きです。実はダイエーさんは新しいことが大好きです※。私どもはその底流はしっかり守っていこうということで、文化的には大変合うのではないかと思っています。

※ローソンはもともとダイエーの子会社として出発した。

――エリアフランチャイズとの関係をどうされるのかということを教えてください。

新浪 特に九州を始めとしたエリアフランチャイズは基本的に大変強い。また私が店舗をずっと回りましたが、「大変良いオペレーションをされている」と思います。am/pmさんのブランドをしっかり活用されて、正直言って投資余力もあったんだろうと考えております。

 先ほど吉本さんからお話があったように実はすごくいいお店ですから、今後、より密にやらしていただきたいと(思います)。また私どもは、どちらかというと九州の南は非常に弱い。出店という意味でも、地元の方々が一番良く場所を分かっております。そういった意味で加速度的に(出店も)できるのではないかと思っています。

 地方、特に九州、関西の方面に関してはエリアフランチャイズの方々とお話をしていきたいと思っていますが、「ブランドが相当確立しているのかなあ」と思っております。

――エリアフランチャイズとの関係は維持されるということでよろしいでしょうか?

新浪 はい、まったくその通りです。

確信のM&A

 2008年の8月から徹底的に話し合いと、デューデリジェンスを重ねてきた新浪社長。記者会見での言葉には「間違いなく成功する」という確信が込められていたように感じた。

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