ロイター、朝日新聞ほか7社が配信する「ビジネスプレミアムネットワーク」とは?(2/2 ページ)

» 2009年02月12日 22時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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ライバルは、日経BPのアドネットワーク「The Premium Contents Network」

 トムソン・ロイター・ジャパンの説明によると、ビジネスプレミアムネットワークの特徴は以下の3つだ。(1)垂直型アドネットワークでビジネスパーソンに特化した広告商品を提供する。(2)自社コンテンツを配信するメディアのみをパートナーとして選別。参加媒体はビジネスサイトとして高いブランド力と歴史を持つ媒体ばかりである。(3)参加媒体が明確に見えることにより、広告主に安心感を与える。

 (1)の垂直型アドネットワークとは、「専門性の高い媒体が集まり、特定のジャンルに絞っている」ことを指す。巨大なPV、UUを誇るYahoo! Japanのアドネットワークが、コンテンツのジャンルが多岐にわたっていることと逆向きのコンセプトだ。asahi.comのような扱う話題が幅広いサイトの場合は、ビジネス関連の記事に絞ってビジネスプレミアムネットワークの広告を回すなどするという。

 (2)は日経BPのアドネットワークに対する特徴。発表会中にも「N社のアドネットワークとの違いは……」という発言が何度もなされるなど、競合を日経BPと想定していることは明らかだ。日経BPのアドネットワークにはECサイトやCGMサイトも参加しているが、ビジネスプレミアムネットワークでは“自社でコンテンツを制作・配信しているメディア媒体”のみのアドネットワークである点に意味があるとしている。「自社でニュース記事を作っている媒体社のコンテンツと、ECやCGMといったサイトとでは、(同じ1PVでも)価値が違うことは明らか。日経(BP)さんのアドネットワークとの最大の違いはここ」(ソネット・メディア・ネットワークス社長、穂谷野智氏)

 (3)は米国のアドネットワークに対する違いだと説明する。「(ビジネスプレミアムネットワークでは)『どこに出しているか分からない』という広告主の不安を避けることができる」(楠山氏)

初年度売上目標は年間3億円

 広告原稿は300×250ピクセルのレクタングルと、728×90ピクセルのスーパーバナーの2種類。これを8媒体にランダムに配信する。広告価格は1PVあたり1.2円から。これは50万インプレッションの場合で、インプレッション数が増えるほど単価は下がる。例えば500万インプレッション以上であれば、単価は0.8円だ。このほか、割安なパッケージ商品を用意する。

 ビジネスプレミアムネットワークの規模は、最大で月間1億PV、3000万UU。仮に1PVの単価が1円として、全ページでスーパーバナーとレクタングルを販売したとすると、1年間で24億円売り上げる計算だ。しかし、初年度の売り上げ目標は3億円と“控えめ”な数字。

 世界的な景気後退の中では、ネット広告も好況とは言い難い。たとえPVが順調に伸びていても、収益化には頭を悩ませている媒体が多いのが現状だ。また、今回参加した8媒体のうち、ビジネス誌系の「ダイヤモンドオンライン」「東洋経済オンライン」「プレジデントロイター」は、母体である雑誌が競合関係にある。「2007年に創刊、順調にPVは伸びてきた。2009年の課題として、収益化はどうするの? と話していたところに、この話をいただいた」(ダイヤモンド社広告局部長の北川哲氏)、「競合であるダイヤモンド社や東洋経済社とネットの世界で提携できるという意味は大きい。日経さんのカウンターパート、もう1つの競争軸として、ビジネス系オンライン媒体の存在意義を増していきたい」(プレジデント社広告本部本部長の稲本進一氏)というコメントには、手探りしながらネット化を進める老舗ビジネス誌の悩みが垣間見えた。

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