不況の影響で企業収益が落ち込んでいるが、賃上げの見通しはどうなっているのだろうか。東証1部上場クラスの企業に聞いたところ、2009年の賃上げ見通しは平均で5113円であることが、労務行政研究所の調査で分かった。
ちなみに2008年の厚生労働省の調べによると、主要企業の賃上げ実績は平均で6149円。昨年実績に比べ、今回の調査では1000円ほど下回る結果となった。「経済や雇用環境からベースアップの見通しは厳しく、定昇分確保が労使の争点になることを示唆している」(労務行政研究所)という。
また「望ましい賃上げ」の金額を聞いたところ、平均で6712円となり、2008年の調査(7787円)と比べ1075円の減少となった。「望ましい賃上げ」の金額を聞いて、最も低かったのは2003年の4788円。以降、景気回復とともに年を追って上昇していたが、今回は景気回復を反映し、2002年以来7年ぶりの前年比ダウンとなった。
郵送などによる調査で、東証1部および2部上場企業の経営者とそこで勤務する労働者のほか、学識経験者ら444人が回答した。調査期間は2008年12月1日から2009年1月13日まで。
2009年に課題になると思われる人事施策は、どんなものが考えられるだろうか。人事施策12項目を挙げ、全体で「大いに関心がある」割合が最も多かったのは「時間外労働の削減」(47.9%)だった。次いで関心が高かったのは「人材の採用・確保」(28.2%)、「メンタルヘルス対策」(27.3%)という結果に。2008年の調査でも「時間外労働の削減」がトップに挙がっており、「(労使双方)意識は高いものの、改善がなかなか進みづらい実態を映した結果といえるだろう」(同)。
労働者側の81.4%は「仕事と家庭(育児・介護)」に“関心がある”と回答したのに対し、経営者側は63.0%。また「時間外割増率の引き上げ」についても、労働者側の60.5%は“関心がある”と回答したが、経営者側は42.9%と、労使の間で差が見られた。
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