「南極で氷山流しそうめん」を発案したのは、“あの人”の父だった誠 Weekly Access Top10(2009年1月17日〜1月23日)

» 2009年01月29日 02時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 週に1回、週間の人気記事ランキングを掲載している誠 Weekly Access Top10。普段、このコーナーは編集部最年少の堀内記者が書いているのですが、今回はメールマガジン「ビジネス通信 誠」が登録人数1000人を突破したのを祝して、メルマガ担当の私・吉岡が代わりに執筆しています。メルマガについては先日、ぱぶログ★アイティメディアでいろいろ告白してきたので、そちらも是非お読み下さい(参照記事)

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 さて、先週最も読まれた記事は、「冬のボーナス手取り『20万円未満』、20代と30代が“逆転”」。2位は「『立ち』でもない、『座り』でもない……“ひざつきション”を試してみた」、3位は「VAIO type Pが先兵になるか――“カジュアルミニノートPC”の可能性」となった。話題のミニノートPC「VAIO type P」に注目しているのは筆者も同じ。ワイヤレスWANモデルの発売日が2月3日に決まったと知って、パーツの組み合わせを頭の中でシミュレーションしながらその日を楽しみに待っている状態だ。

南極観測隊は東京・板橋から派遣される

 ランキングでも9位に入った、「南極越冬隊は何を食べているのか――南極越冬隊調理担当・篠原洋一さん(前編)」。篠原さんへのインタビュー後編も月曜日に掲載したが、この取材は同行していた筆者にとっても実に面白&興味深かった。

 南極観測隊を派遣しているのは、東京・板橋にある国立極地研究所。篠原さんを始めとする南極越冬隊員たちは、年末に出発するまでの間はここに勤務している。取材帰りに隊員たちの机が並ぶ部屋に通していただいたのだが、ちょっと学校の職員室のような趣きだった。

極地研の隊員室は、ちょっと学校の職員室っぽかった

 隊員室のはじには、ちょっとした台所がついている。さすが……と思って見ていたら、窓際に置かれたあるモノに視線を奪われた。……生首?

窓際に生首が!

 「あれは何ですか……?」とおそるおそる聞いてみると、「ああ、髪の毛をカットする練習をするんですよ」との答え。1年間閉ざされた世界で数十人で暮らすとなれば、日常生活に必要な雑務はできるだけ自分でできるようにならなくてはならない。南極には理髪師は同行してくれないから、髪が伸びたら隊員どうしでカットしなくてはならないのだ。そのための練習用の人形と聞いて、深く納得した。

南極で流しそうめん! このアイデアの主は……

 さて、この記事を編集するために調べ物をしていて、気になる記述に出くわした。本文にも出てくる“氷山で流しそうめん”の発案者が、タレント・小堺一機さんのお父上だというのだ。

 極地研に問い合わせたところ「分かりません。観測活動ではないので、発案者を追うのは難しいです」との返事だったのだが、文藝春秋の2004年新春号に小堺一機氏が『南極で流しソーメン』という文章を寄稿しており、そこに詳細が書かれていた。

 それによると、小堺氏の父・小堺秀雄氏は寿司職人をしており、民間人初の南極越冬隊員となった人物。斜面に彫刻刀で溝を彫って、ゆでたそうめんを水と一緒に流す“流しそうめん”を始めたのが秀雄氏だったらしい。夏の南極で青空の下で行う流しそうめんはとても楽しいが、すくい残したそうめんを南極に残すわけにはいかないので、片づけがけっこう大変だとのこと。面白いのは、この企画を「ランニングヌードル」といって面白がった外国人がいて、他国の基地でも流しそうめんならぬ流しスパゲッティをやってみたのだそうだ。箸を使えないであろう隊員たちは、フォークでスパゲティをすくったのだろうか……。

南極生活、南極ごはんについてもっと知りたい人に

 なお、本記事を読んで、南極生活(と食生活)に興味を持たれた方には、“南極料理人”こと西村淳さんの著書をお薦めしたい。西村さんは海上保安官から、第30次、第38次南極越冬隊の調理担当になった方だ。特に第38次南極観測隊として、昭和基地よりもさらに厳しい環境の南極ドーム基地で越冬をしたときのようすが、実に面白い本にまとまっている。

 『面白南極料理人』は、越冬隊が南極でどんな暮らしをしているのか、詳しく分かる貴重な本(しかもめちゃくちゃ面白い)。この本に出てくる料理は、どれもワイルドかつ簡単でとてもおいしそうなのだが、そのレシピを詳しく知りたい、自分でも同じ料理を作ってみたい! という方には続編の『笑う食卓―面白南極料理人』をオススメする。

 ちなみにこの2冊を原作とした映画『南極料理人』(参照リンク)が8月から公開されるとのこと。主演は堺雅人さん。原作者の西村淳さんと堺雅人さんのイメージがどうしても重ならないのだが、原作の2冊はどちらも非常に面白かったので、夏になったら見にいってみようかなあと思っている。

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