ニュース
» 2009年01月21日 09時20分 UPDATE

現場に一番近い社長でありたい――豊田章男氏のトヨタ社長内定会見を(ほぼ)完全収録 (1/4)

トヨタ自動車は1月20日、豊田章男副社長が社長に昇格する人事を発表した。100年に1度と言われる不況の中、6月に社長に就任する、豊田副社長の会見の様子を紹介する。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 トヨタ自動車は1月20日、豊田章男副社長が社長に昇格する人事を発表した。渡辺捷昭(かつあき)社長は副会長に就任、張富士夫会長は留任する。6月に開催する定時株主総会後の取締役会で正式決定する。

 豊田章男副社長は豊田章一郎名誉会長の長男で、1956年生まれの52歳。慶應義塾大学法学部卒業後、米国Babson CollegeでMBAを取得、1984年にトヨタ自動車に入社した。経理や生産、営業などの部署を経験、クルマの情報ネットワーク「GAZOO」や車載情報サービス「G-BOOK」の導入にも携わった。

 金融不況などによる自動車販売台数の減少、非正規労働者の雇用問題など課題が山積する中、豊田副社長はトヨタ自動車の11代目社長として舵(かじ)取りをすることとなる。内定発表の記者会見が行われたのは、名古屋と東京の2カ所。その内、東京で行われた会見の模様をお伝えしよう。

ah_3ninkai.jpg 左から渡辺社長、豊田副社長、張会長

新しい視点と若々しい発想を持つことが重要

ah_tyou.jpg 張富士夫会長

 記者会見に出席したのは、張富士夫会長、渡辺捷昭社長、豊田章男副社長の3人。冒頭、内定した役員人事の概要を張富士夫会長が説明。その後、新社長に内定した豊田副社長を紹介した。

 本日、新社長に内定いたしました豊田副社長は、これまでITを活用した販売店業務改革や、車載情報ネットワークG-BOOKの導入など情報事業部門の立ち上げにその手腕を発揮。また、米国NUMMI※の副社長や、多国間で連携するIMVプロジェクト(参照リンク)、昨年70万台を生産販売した中国事業発展の礎を築くなど、豊富な国際経験も持っております。

※NUMMI……トヨタ自動車とゼネラル・モーターズとの合弁会社。

 また、調達部門、品質部門、国内営業部門、商品企画部門など幅広い部分で十分な経験を積んでおります。若いころには生産調査部に入りまして、現場の改革をしていただきました。トヨタ生産方式の考え方をよく理解していますし、それをベースとした営業の改善、販売店の改善なども真っ先にやってくれました。

 従いまして豊田副社長の考え方は、“お客さま第一”と「知恵や知識は現場にある」という言葉を実践するという“現地現物”に基づいております。さまざまな現場で生の声に耳を傾け、生の状況をしっかり観察するとともに、中長期的な視点を持って経営判断をしている姿を私もよく見てまいりました。彼と一緒に仕事をしておりますと、そういう行動理念がひしひしと伝わってまいります。

 私は現在のような激動期に、豊富な経験に加えまして、“お客様第一”“現地現物”という創業の原点に立ち返るとともに、新しい視点と特に若々しい発想、これを持ちながら時代の大きな変化を中長期的な観点で見据え、時には大胆な改革も進めることが大変重要であると考えております。豊田副社長はこうした激動期の新社長に最適任であると確信しております。

今こそ大胆な構造改革が必要

ah_wata.jpg 渡辺捷昭社長

 張会長の次は、2005年から現職にある渡辺社長が内定を受けてからの4年間を振り返った。

渡辺 私自身、社長の内示を受けてから約4年になるわけでございますが、率直に「あっという間の4年だった」と今感じております。この4年、大変世界が変化をいたしまして、かつて経験のしたことのないスピードで我々の事業環境、経営環境が変化をしておりました。私としては「その変化にどう対応していくかということに費やした4年間」というのが実感でございます。とても短く感じております。

 逆に申せば、「短い」というのは「大変充実した期間であった」とも言えるかと思います。その間、大変多くの方々に支えられ、素晴らしいチームの中で仕事ができたという風に感じておりますし、大変多くの人たちに感謝の気持ちをお伝えしたいという風に思っております。

 ご承知の通り、現在の我々を取り巻く経営環境は世界中で大変厳しいものがあります。そして、大きな変化が生じております。まさに激動期だという風に感じております。我々にとっても「大変厳しい未曾有(みぞう)の危機に直面している」と言えるとも思っております。

 昨年の春ぐらいから「もう時代が変わった」ということをお話ししておりました。この「時代が変わった」ということを捉えてみれば、それだけに「今こそ大胆な構造改革が必要ではないか」、あるいは「今までの延長線上だけではやっていけないのではないか」という風にも思っております。

 こういう時にこそ、先ほど張会長からお話がありましたように、若々しい発想とか、あるいは新たな視点を持って、さらに感覚も研ぎ澄まされて果敢な行動力を持ち合わせた豊田副社長が、この変化の大きい時代に大胆な改革も含めてやっていける人材である、最適任者であるという風に感じております。創業の精神、原点に戻ってしっかりとやってもらえるという風に思っております。

 私自身は任期はまだ6月まであります。多くの難問や課題を抱えておりますので、これに全力を傾注して対処していきたいと思っておりますし、同時に新体制に対してしっかりとサポートしていくことを張会長ともども実施していきたいと考えております。

現場に一番近い社長でいたい

ah_toyoda.jpg トヨタ自動車社長に内定した豊田章男副社長

 緊張した面持ちでマイクに向かった豊田副社長、手元のメモに時折視線を落としながら現在の心境を語った。

豊田 100年に1度と言われます未曾有の難局の中、トヨタの舵取りという大きな役割を担うことになりました。今はただただその責任の重さに身の引き締まる思いでございまして、抱負などにつきまして具体的な考えを申し上げられる段階にはございません。まずは現職を任期満了まで精一杯勤め上げることが第一かと思います。

 ただ私といたしましては、従来から大切にしてまいりました“お客様第一”“現地現物”といった創業の原点に回帰し、会長の張からもありました「時代の大きな変化を中長期の視点で見据え、大胆な改革にも(挑んでほしい)」との言葉を肝に銘じ、あえて言うなら「現場に一番近い社長でいたい」と思っております。

 誠に微力ではありますが、全力で大任を果たしてまいりたいと思います。正式就任まで、今少し時間がございますので、私としてやりたいこと、やるべきと感じていることがいくつかございますが、今後早急に具体策を検討してまいりたいと思います。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集