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» 2009年01月13日 16時30分 UPDATE

松田雅央の時事日想:太陽光発電世界1位――ドイツのソーラー事情 (1/2)

世界1位の太陽光発電大国となったドイツ。太陽電池生産は年率50%のペースで増えており、経済危機の中でも成長産業として有望視されている。具体的にどう使われているかリポートしよう。

[松田雅央,Business Media 誠]

松田雅央(まつだまさひろ):ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及びヨーロッパの環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ(http://www.umwelt.jp/)


 前回お伝えしたように、ドイツの再生可能エネルギーは着実に開発が進んでおり、2007年にはドイツ国内全エネルギー消費(電力・熱・動力の合計)の8.6%を占めるに至っている。1998年に比べ、2.8倍という急成長ぶりだ。

ah_doiene.jpg ドイツ国内のエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合(%、出典:ドイツ環境省の資料)

 EEG(再生可能エネルギー法)で買い取り価格が手厚く保証されているため、特に電力に占める再生可能エネルギーの割合は1998年に4.8%だったものが2007年には14.2%と、顕著な伸びを示している。「2030年までに50%」というドイツの目標は決して夢ではない。

 中でも太陽光発電の勢いは驚異的だ。発電能力・発電量とも急上昇を続けており、ドイツは今や押しも押されもせぬ世界1位の太陽光発電大国である。ドイツを含めた欧州域内の旺盛な需要を背景に、太陽電池生産は年率50%のペースで増えており、経済危機の中でも成長産業として有望視されている。

ah_doitaiyo.jpg ドイツの太陽光発電能力と年間発電量(出典:BMU)

大型太陽光発電のポテンシャル

 しかし、ドイツは日射量が少なく、必ずしも発電条件には恵まれていない。EEGのおかげで何とか経済的に成り立ってはいるものの、冬の日照時間は9時ころから15時ころまでと短く、曇天も多い。

 太陽光発電推進派の中には「すべての住宅の屋根に太陽電池を設置すれば国内電力需要を100%カバーできる」という意見もあるが、実現の可能性はない。すべての屋根が太陽光発電に適しているわけではなく、悪条件の場所に太陽電池を設置するくらいなら費用対効果の高い風力発電に出資する方が得になるからだ。

 それでもドイツの太陽光発電が今後とも伸びると予測されるのは、工場の屋根、スポーツ施設の屋根といった大型太陽光発電の開発が見込めることによる。

ah_kanofi.jpgah_romesei.jpg 環境オフィスビル(フライブルク)の“窓ガラス一体型”太陽電池(左)、路面電車の整備工場(カールスルーエ市、右)

 例えばドイツで初めて大型太陽電池を設置したフライブルク市のサッカースタジアムは、太陽光発電のシンボル的存在として知られる。

ah_hurasaka1.jpgah_hurasaka2.jpg フライブルク市のサッカースタジアムと、その屋根に設置された太陽電池

 加えて市民協会が主体となり、市民出資を募って建設された点でも特筆に値し、「環境保全のために何かしたい」という市民の熱い想いを集めて実現した記念碑的な設備である(1995年の設置第1期はEEG制定前なので、財政的には苦しかったはずである)。

ah_taikei.jpg 太陽光発電の掲示板、表示(上から):発電能力1000キロワット(最大)、現在の出力11キロワット、本日これまでの発電量44キロワット時間、2004年8月からの総発電量81万8043キロワット時間
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