FeliCaとType Bはいずれも近接型非接触ICチップの一種だ。近接型非接触ICチップとは、“リーダー/ライターに近づけると(通信距離10センチメートル以内を想定)、ぴったり接触させなくてもデータを読み書きできるICチップ”という意味。FeliCaもType Bも、カードの中を開けるとICチップの回りにアンテナが張ってある。リーダー/ライターが発している電波を、このアンテナを使ってキャッチし、リーダー/ライターとICチップが通信を行う(=データの読み書きをする)のだ。
FeliCaとType Bは異なる規格だが、いずれも13.56MHz帯の周波数帯で通信を行っている。そのため、自動改札などFeliCa用リーダー/ライターに、FeliCaカード(IC乗車券など)とType Bのカード(ICカード免許証など)を一緒に近づけると、リーダー/ライターの発する電波を複数のカードが奪い合うことになる。するとIC乗車券に必要な電力を供給できなくなり、カードを正しく判別できない、正常な通信が行われないなどのエラーが起きてしまうのだ。
チップ名 | カード(サービス)名 |
---|---|
FeliCa | Suica、Edy、PASMO、nanaco、WAON、iD、QUICPay、VISATOUCH(スマートプラス)、モバイルFeliCa(おサイフケータイ)、香港オクトパス など |
TypeB | ICカード免許証、住基カード など |
Mifare(マイフェア) | taspo など |
右の写真は、ある人の財布の中にあった非接触ICカードを並べたものだ。ICカード免許証(Type B)、taspo(Mifare)、SuicaやPASMOなどの交通IC乗車券(FeliCa)だけでなく、電子マネーのnanaco/WAON、Suicaが載っているクレジットカード、ANAのマイレージカード、JR東海のEX-ICカードなどさまざまな種類のFeliCaカードが入っている。たとえ財布にICカード免許証が入っていなくても、FeliCaカードが複数枚入っていれば、前ページで説明したエラーと同じことは起こりうる。
複数の非接触ICカードを持っている場合、エラーを避けるにはどうしたらいいか? 方法は大きく分けて2つだ。1つは“ICカード免許証とIC乗車券を一緒に持たない(使わない)”、そしてもう1つは“ICカード対応の財布やパスケースを利用”すればいい。
ICカード免許証や電子マネー、クレジットカードはたいてい、財布やパスケースから抜き出して単体で使う。エラーが起きて困るのは、SuicaやPASMOといったIC交通乗車券のはず。IC交通乗車券とそれ以外のICカードを分けて持つか、面倒でも改札を通るときにIC交通乗車券を抜き出して使うようにすれば確実だ。二つ折りの財布やパスケースであれば、IC交通乗車券とそれ以外のカードを左右に分けておき、開いてIC交通乗車券側だけをタッチするようにするだけでもエラーを防げる。
あるいはモバイルSuicaなど、おサイフケータイ(モバイルFeliCa)で利用できるものはそのサービスを使うのもいい。おサイフケータイでは1つのICチップで複数のサービスに対応できるようになっているので、カードを重ねたときのようなエラーが起こることはない。
もう1つの対処法は、ICカード対応の財布やパスケースを使うこと。例えばシェリーの「アイクレバー」シリーズは、特定のICカードだけを読み取らせ、ほかのICカードはリーダー/ライターにかざしても反応させないようにできる製品だ。
同様の機能を持つ製品は、ほかにも複数社から販売されている。例えばコムサ・デ・モード、アニエス・ベー、アナ・スイといったブランドでもパスケースや財布のラインアップの一部をIC乗車券対応としている。
手持ちの財布やパスケースをそのまま使いたいという場合は、非接触IC対応のスキミング防止カードを使うという手もある。自動改札で反応させたくないカードにスキミング防止カードを密着させて入れておくと、スキミング防止カードがリーダー/ライターからの電波を遮断するため、自動改札にかざしても反応しなくなる。ただしこの場合、使いたいICカードと自動改札の間にスキミング防止カードが挟まると読み取りを阻止してしまうので、向きに気を付けて利用したい。
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