連載
» 2008年12月29日 07時00分 UPDATE

ECO建築探訪:コンビニの電力使用量を削減せよ――ローソン4つの挑戦

深夜営業が環境に悪影響だとして、規制も検討されているコンビニ。そこでローソンが消費電力削減のモデル店舗として、広島県の呉市広公園内に省エネコンビニをオープンしている。

[水谷義和,Business Media 誠]
ah_mizu.jpg

水谷義和(みずたによしかず):ウッドノート代表取締役。1995年早稲田大学理工学研究科建設工学(都市環境)修士課程修了後、竹中工務店に入社。東京ドームシティLaQua(ラクーア)や汐留芝離宮ビルディングなど省エネ施設の企画、設計に数多く携わる。2003年には、世界ガス会議・環境調和型都市デザイン国際コンペで、日本代表選考コンペ優秀賞受賞。2005年に竹中工務店を退職し、竹中工務店の同僚と2005年にウッドノートを設立。建物・環境・エネルギー・ファイナンスの専門医として、建物・施設の健康管理および価値向上のサポートを行っている。


 昨今、コンビニの深夜営業が環境に悪影響だとして、規制を検討している自治体も出ている。規制には賛否両論あるだろうが、24時間明かりを照らし続けているコンビニの電力使用量がバカにならないことは間違いない。コンパクトな設計ではあるが、エネルギー消費が意外と多いコンビニ。今回のECO建築探訪では、ローソンが広島県の呉市広公園内にオープンした省エネコンビニを紹介しよう。

さまざまな仕掛けで省エネ

 2008年3月31日、ローソンは「1店舗あたりのCO2排出量を2012年までに2006年対比で10%削減する」という排出削減自主行動目標を発表した(プレスリリース)。これは、京都議定書目標達成に向けたコンビニ業界の自主行動計画基準の1990年対比原単位(延べ床面積×営業時間)で、30%削減することを意味する(コンビニ業界の削減目標は23%)。

 この高い削減目標を達成するためには、「無駄なエネルギー消費を省く」「建物の省エネ性能を強化する」「設備機器のエネルギー効率を向上させる」「対策ごとに省エネ効果を数値化して検証する」といったことをやらなければならない。

 ローソンの呉広公園店は、公園とオークアリーナ(体育館)からなる呉市広公園内に立地。環境配慮をテーマにオープンしたこの店舗では、省エネ施策として「新建材採用」「LED照明」「太陽光発電」「外断熱」「雨水散水」「光ファイバー」といったさまざまな仕掛けを取り入れている。

ah_kurekote.jpg ローソン呉広公園店

 呉広公園店では、電力使用量を既存店舗(2006年度)よりも13.6%(営業16時間対比では15.6%)減らすことが目標。これにより電力使用量を年間2万5063キロワット時間節約、CO2排出量を年間1万7700キログラム削減することを見込んでいる。1家庭の1年間の平均電力使用量が約4000キロワット時間なので、約6世帯分の年間電力使用量を削減していることになる。

 コンビニで電力使用量が多いのは、冷蔵・冷凍ケース、照明、空調(エアコン)といった設備だ。これまでは冷凍用・冷蔵用・空調用の各種室外機を一体化して効率を高めた「要冷空調一体型システム」を導入するなどして、電力使用量を削減していた。

 呉広公園店ではそれに加えて、省エネ対策の目玉を4つ加えた。

1.照明電力消費を抑える「光の拡散性を高めたセラミックタイル床と店内LED照明」

2.「雨水を活用した室外機」で空調の電力消費を抑制

3.自然エネルギーを活用して自ら電力を作り出す「太陽光発電」

4.外部からの熱影響(日射・熱の流出入)を極力抑える「外断熱」

 中でも「光の拡散性を高めたセラミックタイル床と店内LED照明」は省エネの取り組みとして画期的だ。

 LED照明は技術開発が急速に進んでおり、消費電力を蛍光灯に比べ50%以上削減することも可能となっている。そのため導入検討している企業も多いのだが、コスト面で蛍光灯より高価という問題点がある。また、LED照明のもう1つの欠点として輝度(照明の明るさ)の低さがあり、「室内が暗くなるのでは」という懸念から導入をためらう企業も多い。そこで呉広公園店では、輝度が低いLED照明の欠点を補うために、光が反射しやすいセラミックタイルを床に使用したのだ。

 呉広公園店の試みは建築と設備の総合的・融合的な省エネ対策の一例として有益であり、今後の成果検証や新たな展開が楽しみだ。

ah_ledkure.jpg 呉広公園店のLED照明

全店舗での取り組みに

 ローソンは全国に9442店舗(2008年11月時点)も展開しているため、1店舗あたりのCO2排出量を平均10%削減することの意義は大きい。各店舗の条件(寒い地域/暑い地域、都市部/郊外、客層など)は異なっているが、全店舗に共通するような課題を解決できればその効果は莫大なものとなるだろう。

 2008年9月29日に発表された、東京大学生産技術研究所やウッドノートとの省エネ店舗構築に向けた共同研究(プレスリリース)では、全国に点在する店舗をいかに省エネ化していくかについて検討している。

 既存店舗でもインターネットを活用した環境計測およびエネルギー消費分析で、「運用面・設備面・建築面での省エネ化」「省エネ効果検証および情報一元化」「省エネ効果の開示・来店者へのアピール」を実施・促進し、CO2排出削減目標を達成することを目指している。

 企業の環境活動が第三者から見ても適正な取り組みとして評価され、対策ごとに数値効果として認証・公開される仕組み作りを広めていきたい、と筆者は考えている。ローソンの環境活動が今後の省エネ対策における先駆的な取り組みとなるべく、今後も協力していきたい。

ah_rosoene.jpg ローソンにおけるエネルギーマネジメント構築(案)

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着記事

news020.jpg
コンビニ探偵! 調査報告書:
news039.jpg
池田直渡「週刊モータージャーナル」:
news018.jpg
「ハリポタ」「ファンタビ」Pに聞く:
Loading

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -