モットーは「前代未聞のことをする!」――ラジオパーソナリティ・齊藤美絵さん(後編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(3/4 ページ)

» 2008年12月27日 08時35分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

1日3時間睡眠、「でも楽しくって仕方がない」日々

 当時の生活リズムは、どのようなものだったのだろうか?「毎朝、4時、5時には起きてました。今もそうですが……(笑)。そして、炊事・洗濯などの家事をこなしてから大学に行って授業に出ます。夕方、東京都千代田区半蔵門にあるTOKYO FMに行き、番組のための活動をします。それが終わると今度は、バンドのスタッフもしていました。週末は1日かけて番組の収録で。毎日の睡眠時間は、平均3時間くらいですね」と大変なことを事もなげに言う。

 呆気にとられている筆者に向かって、彼女は笑いながら語る。「でも、全然、辛くはなかったですよ。それどころか、毎日が楽しくって仕方なかったです」

 それにしても、そこまで自分を追い込んで、どこによろこびを見いだしていたのだろう?「人に何かを伝えることでよろこんでもらえるのが、私も嬉しかった。それが仕事として成立して局にもよろこんでもらえるとすれば、こんな素晴らしいことはない、って思っていました」

“就職”しないで、大学3年で一本立ちした理由

 すでに大学3年の11月には、FM BIRDというラジオDJ専門の芸能プロダクションの社長から声をかけられ、プロフェッショナルなDJとして歩み始めていた齊藤さん。

 ユネスコの職員になるという目標はその後、どうなったのだろうか? 「現実的な“目標”だと信じていたユネスコよりも先に、遠い“夢”として憧れていた表現の仕事の方が、早く実現してしまったということでしょうか。それに思ったんです。『今の自分にしかできないことがあるはずだ。今の自分にできる最善のことをやりたい』って」

 換言するならば、国連という大組織の歯車として働くことよりも、人々に対してより直接的なインパクトを与えられるラジオパーソナリティの仕事に、より大きな魅力を感じたということだろう。仮にそうだとしても、放送局に“就職”するという選択肢はなかったのか?

 「確かにある放送局から、有難いお誘いは頂戴しました。でも、プロダクションに所属してお仕事をすることで広がる、未知の可能性を試してみたかったんです」

 なるほど、放送局の1社員(アナウンサー)として、毎日ニュース原稿などを読む仕事もよいが、プロダクションのタレントさんという立場の方が、マルチな才能を有する齊藤さんの魅力をより発揮しやすいのかもしれない。

 実際、大学時代には得意な「食」の分野でも活躍した。例えば彼女の作ったサンドイッチのアイデアが大学のレシピコンテストで優勝して販売されたり、渋谷のカフェの一日店長になって地元大分の郷土料理をふるまったりしている。さらには、趣味の写真も評判となっている(2009年3月、鎌倉で初の個展を開催予定)。1つの業務の枠の中には収まり切れない女性なのだ。

レギュラー番組が続々と決まって……

 「プロダクションに入って最初のレギュラーは、テレビ東京の深夜枠の『RRR(トリプルアール)』という番組のナレーションのお仕事でした。非常にディープで楽しかったです」

 新人ながらも長時間番組のレギュラーの仕事が決まり、これを皮切りに快進撃が始まる。運命の出逢いとも言うべき、FMヨコハマの「WE LOVE SHONAN 〜our native shore〜」に起用されたのだ(前編参照)

 「大学の卒業年に始まったお仕事ですし、縁のある湘南やハワイの情報をお伝えして現在に至るまで5年間も続けさせて頂いている本当に大切な番組です。私にとってライフワークになっています」と微笑む。現在レギュラーは「WE LOVE SHONAN」、JFN系列「Wonderful Go! Go!」FM長野「談慶の黄昏妄想族」の3本。これ以外のテレビとラジオの主要な出演歴は以下の通りだ。

ラジオ

  • HOLIDAY SPECIAL『ヱビス<ザ・ホップ>presents cafe harmonia』、TOKYO FM
  • 『HITS OF THE WORLD』(2006年12月〜2007年6月)、TOKYO FM デジタルラジオ702ch
  • 『MAGIC LIVE』(2007年7月〜9月)、TOKYO FM デジタルラジオ702ch
  • 『Power Studio From Fuji』(2006年4月〜2007年3月)、FM富士
  • 『Air Calin presents Siesta a la Plage』(2005年4月〜9月)、Inter FM

テレビ

  • 『ハイビジョンプレマップ』ナレーション、NHK BS
  • 『THE BEAT FILE』ナレーション、セコム Vコン ナレーション(2003年7月)、WOWOW
  • 『全力! Tunes』ナレーション(2008年4月〜9月)、日本テレビ
  • 『恋するハニカミ』コーナーVTRナレーション、TBS
  • 『天国に吹く風』ナレーション、TBS BS-i
  • 『めざうたどようび』内『めざうたコンペ』ナレーション、フジテレビジョン
  • 『RRR(トリプルアール)』ナレーション(2003年11月〜2004年3月)、テレビ東京
  • 『プレシャス&コンシャス』ナレーション(2005年4月〜2007年6月)、BS Asahi
  • 『ブロードバンド ストリート』ナレーション(2004年2月)、インプレスTV

 ラジオやテレビの番組だけではなく、MC(司会)の仕事も次から次へと入ってきた。出演歴のリストは膨大で、筆者もこれまでに齊藤さんの声を多く聴いていたことを知った。ラジオにせよテレビのナレーションにせよ、ご本人の顔が見えないこともあって、あなたも気付かないうちに彼女の声を聴いているかもしれないのだ。

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