コラム
» 2008年12月18日 07時00分 UPDATE

山崎元の時事日想:グループ転職は魅力的? 雇う側でも雇われる側でも (1/2)

複数人で会社を辞め、新しい会社に転職する「グループ転職」。筆者の山崎氏は過去2回、グループ転職の経験があり、「メンバーのことが分かっているので、新しい職場でもスムーズに仕事ができる」とメリットを挙げるが、デメリットもあるという。それは……?

[山崎元,Business Media 誠]

著者プロフィール:山崎元

経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員、1958年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事入社。以後、12回の転職(野村投信、住友生命、住友信託、シュローダー投信、バーラ、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一證券、DKA、UFJ総研)を経験。2005年から楽天証券経済研究所客員研究員。ファンドマネジャー、コンサルタントなどの経験を踏まえた資産運用分野が専門。雑誌やWebサイトで多数連載を執筆し、テレビのコメンテーターとしても活躍。主な著書に『会社は2年で辞めていい』(幻冬舎)、『「投資バカ」につける薬』(講談社)、『エコノミック恋愛術』など多数。ブログ:「王様の耳はロバの耳!


 転職は、何人かのグループを作って行われることがある。これを「グループ転職」といい、筆者も4人のグループで、これまでに2回経験したことがある。

 外資系の企業の場合、ライバル企業からグループで人材を引き抜くことがあるし(顧客もまとめて引き抜こうとすることが多い)、グループの誰かが、転職した後に、かつての同僚を次々呼び寄せるような形で結果的にグループ転職的な状況になる場合がある。

グループ転職のメリットは2つ

 グループ転職のメリットは2つある。

 まず、仕事の立ち上がりが早くて、成果が計算しやすいことだ。1人で完結できる仕事以外の場合、一緒に仕事をする人間がどの程度の能力を持っているかと、お互いに相性がいいと思える関係かが重要だ。最終的に相手が「いい人」であることが分かっても、それが分かるまでにそれなりの時間が掛かる場合が多い。仕事のパートナー同士がまとまって転職するグループ転職の場合、新しい職場に移ってから、時を置かずにフル稼働できやすい。

 外資系の証券会社のような「成果」を早く上げることを求められる職場の場合、移ってすぐに仕事が進められるグループ転職は心強い。単独で転職する場合、下手をすると、仕事に必要なリソースを確保するのに時間を取られて、その間に会社側が転職者に抱いていた期待がしぼんでしまうことがある。そうなると、精神的にも焦るし、仕事の成果が上がりにくくなる。グループ転職は、外資系企業で多いように見受けられるが、これは外資が成果を急ぐことと、現場に人の採用を任せる度合いが大きいことの影響だろう。

 グループ転職のもう1つのメリットは、個々のメンバーにとって気が楽なことだろう。転職による全く新しい環境と人間関係は、それなりに大きなストレスをもたらすものなので、このメリットも小さくない。人によっては、グループ転職でなければ転職ができそうにない性格の人もいるので、こうした人にとっては、グループ転職が役に立つ。しかし、その分個々のメンバーの転職に対する検討が甘くなりがちな弊害もある。

グループ転職のデメリット

 グループ転職には、いくつか注意すべきデメリットの可能性がある。

 最大のデメリットは、グループのメンバーが相互に相手に依存することのリスクだろう。特に、グループのまとめ役が社内で浮いてしまったり、最悪の場合、失脚してしまったりした場合には、一緒に付いて来たメンバーが会社の中で「路頭に迷う」ような状況になって、次々と立場を失っていく場合がある。また、グループのトップ以外のメンバーが欠ける場合も、グループ転職のメンバーは、通常仕事にどうしても必要な人だけに絞り込まれている場合が多いので、グループ全体が大きな影響を受ける場合がある。

 職場環境が変わると人間関係も変化することがあるし、1人1人の人生の都合は異なる。1人の都合にグループ全員が振り回されるのも困るし、逆に、ほかのメンバーの仕事に支障を与えるので、個々のメンバーが自由に将来を決められないといった状況も困る。

 この問題については、グループ転職の活動に入る前に、メンバー間である程度の合意を形成しておくべきだ。例えば、最初の2年間は特段の事情がない限り一緒に働くが、その後は、個々の事情によって自由に進路選択をしてもいい、といったことを決めておく。筆者も最初のグループ転職の際には、こうした基本合意を事前に作った。

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