企業が投資したい分野は「人材採用・育成」、抑制したいのは「広告」――野村総研調査

» 2008年12月16日 07時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 金融危機などの影響を受け、生産調整のために従業員を解雇する自動車会社や希望退職を募る金融機関など、各企業は厳しい状況に直面している。日本企業は今後何に重点を置いた戦略をとろうとしているのだろうか。

 野村総合研究所の調査によると、国内企業に2008年4月〜9月と比較した現在(調査時期は11月中旬)の経営環境を尋ねると、「大変悪くなっている」は22.6%、「悪くなっている」は63.3%で、悪化していると判断している企業は合わせて85.9%だったことが分かった。具体的に経営環境に悪影響を及ぼしている要因を聞くと、「国内経済の減速・景気後退」「世界経済の減速・景気後退」「国内市場・消費の減速」「資源・原油・原材料価格の変動」が多くを占めた。

 また、現在の経営環境の変化がどれくらい期間、会社の事業に影響を与えるか聞くと、「2年程度」が49.5%と最も多かった。以下、「1年程度」(24.6%)、「3年以上」(21.0%)、「半年程度」(2.6%)が続いた。

2008年4月〜9月と比較した現時点の経営環境(左)、現在の経営環境の変化がどれくらい期間会社の事業に影響を与えるか(右、出典:野村総合研究所)

 企業は今どの分野の投資を増やそうとしているのだろうか。投資を拡大したい分野を尋ねると、「人材採用・育成」が38.7%でトップ。以下、「新規事業」(34.9%)、「研究・技術開発」(26.1%)、「製品開発」(25.7%)、「品質・安全性」(25.0%)、「企業買収」(21.6%)が続いた。

 逆に投資を抑制したい分野を尋ねると、「広告・宣伝・マーケティング」が23.0%でトップ。以下、「生産設備」(19.2%)、「IT」(12.8%)、「新規事業」(11.4%)、「人材採用・育成」(10.0%)が続いた。しかし、「特にない」と回答した企業も44.1%あった。

投資を拡大・抑制したい分野(出典:野村総合研究所)

 企業はどんな政策や制度を望んでいるのだろうか。期待する政策や制度を聞くと、1位は「国内消費の安定化・浮揚策」(63.1%)だった。以下、「世界の金融資本市場の安定化策」(41.1%)、「法人に対する減税」(35.9%)、「国内の金融資本市場の安定化策」(34.7%)、「不況に適応した会計制度への変更」(19.4%)が続いた。

 経営企画部門担当役員への郵送による調査で、対象は国内上場・非上場3000社(回収したのは501社、回収率16.7%)。調査時期は11月17日から28日。

企業が期待する政策や制度(出典:野村総合研究所)

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