ホンダのF1撤退会見で今宮純さんが話したこと誠 Weekly Access Top10(2008年12月6日〜12月12日)

» 2008年12月15日 17時40分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「冬のボーナスの使い道は「預貯金」……不況などの世相を反映」。景気後退がささやかれる中でのボーナスシーズンとあって、多くの読者に興味を持って読んでもらえたようだ。ボーナス関連ではほかにも「30代が最も厳しい? 冬のボーナス予想額」「民間企業と公務員、冬のボーナスはいくらもらえる?」「フトコロに寒気到来! 主要企業のボーナス支給額リスト」などがランクインした。

 ボーナス関連の記事が上位を席巻する中、10位にランクインしたのが「ホンダはなぜF1から撤退するのか?――社長会見を(ほぼ)完全収録」。自動車販売の低迷などを理由に、本田技研工業(ホンダ)がF1からの撤退を表明した記者会見の一部始終を伝えた記事だ。

 実は記事には入れなかったのだが、この会見で印象に残ったシーンがあった。それはホンダの福井威夫社長とモータースポーツジャーナリストの今宮純さんとのやり取り。会見の質疑応答は1時間近く続いたのだが、最後に質問者として指名されたのが今宮純さん。今宮さんは、淡々と原稿を棒読みするように次のように質問した。

今宮 スポーティングレギュレーションによれば、11月1日が2009年度のエントリーフォームの締切日となっています。それなりのエントリーフィーが添えられてなければいけません。変更がある場合には7日以内に文書でということになっています。FIA(国際自動車連盟)への対応、現在こういう発表の後ですが、どうされるのでしょうか。そして、バーニー・エクレストンおよびコンコルド協定との急きょ変更になったことでの彼らに対する通知・通告および協定順守の義務、この辺の調整、今後の事務的な手続き等々、杞憂ですがスマートにやっていただかないと、非常に大きなペナルティが発生するのではないかと個人的には心配しています。よろしくお願いします。

 「これは質問ではなくアドバイスだ」と気付いて半笑いになる報道陣。

 今宮さんは1970年代からF1を取材しており、福井社長も1969年に入社して以来長くモータースポーツにたずさわってきた。クルマ好きの2人が言葉を交わした回数は、恐らく1回や2回といったレベルではないだろう。撤退を決断せざるを得なかった福井社長の無念さを、今宮さんはよく理解しているはず。「立つ鳥は跡を濁さないでほしい」という意味を込めた一見厳しい言葉なのだが、「これは今宮さん流の思いやりの表現でもあるんだろうな」と筆者は感じた。

 そんな今宮さんの意図を福井社長も理解してか、「了解しております。ありがとうございます」と回答。福井社長は会見中終始厳しい表情だったのだが、この瞬間だけはかすかに笑っていたような気がした。

 ただ、よくよく考えてみるとこれはカッコ付けた発言ともとれるし、記者会見なのできちんと質問するべきだとも思うのだが、「何かこういうハードボイルドっぽいのも、F1らしくてアリかもしれないな」と感じた出来事であった。

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