ハエが養鶏&養豚農家を救う?――バイオマス総合展2008エコプロダクツ2008(2/2 ページ)

» 2008年12月12日 21時15分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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イエバエが養鶏&養豚農家を救う?「ズーコンポスト」

BBBブースにあったカゴ

 小さな虫が飛び回っているカゴが注目を集めていたのは、「ズーコンポスト」を展示している株式会社BBBのブース。カゴの中で飛んでいる虫は、よく見るとたくさんのハエ(!)だった。

 ズーコンポストとはひと言でいうと「無菌状態のイエバエを使い、ふん尿を有機肥料に変える仕組み」。想定している顧客は、鶏や豚などを育てる畜産農家である。

 畜産農家では大量にふん尿が発生する。ふん尿はたい肥利用するように指導されるが、自然にたい肥になるまでには3〜4カ月と長い時間がかかる上、大量にメタンガスを発生するのが難点だ。汚水がしみ出して地下水を汚染することもある。

 ズーコンポストでは、イエバエの力によってふん尿処理を行う。トレイにふんを広げ、その上にイエバエの卵を載せる。卵がかえると幼虫(ウジ虫……)がふんを餌として育つ。ふんは初め80パーセント程度の水分を含んでいるが、3日程度で顆粒状に、5日程度でさらさらに乾燥し、においもほとんどなくなるという(この時点で肥料になっている)。このころには幼虫は成長し、習性として外に這い出そうとするため、棚の下部に設置した幼虫受けに落ち、幼虫と肥料が分離される。幼虫受けに落ちた幼虫は熱湯処理の後で急速冷凍し、鶏や魚の飼料となる。

ズーコンポストの仕組み
有機飼料(トロプス、乾燥処理済みのハエの幼虫)と有機肥料(ビオス)

 ここまでにかかる期間は約1週間程度。自然にたい肥を作るのに比べると大幅な期間短縮といえる(ちなみに、ミミズを使うより格段に早いそうだ)。しかも良質な有機肥料(ビオス)と有機飼料(トロプス)を回収できるので、農家はそれを売ることによって利益を上げられるという仕組み。1トンのふん尿から、300キログラムのビオスと100キログラムのトロプスを生産できる。

 3トンのふん尿を処理できるズーコンポストの施設で、値段は約3000万円。BBBでは2009年に販売を開始するほか、春には千葉県成田に視察可能な施設「成田ラボ&バイオマスファーム」をオープンする予定だ。

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