水が流れないトイレ、気になることは2つ――小便器編 エコプロダクツ2008

» 2008年12月12日 18時04分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 その昔、公衆便所に設置している小便器(もちろん男性用)といえば、正面に押しボタンがあり、それを押さなければ水を流すことはできなかった。もちろん今でも残っているだろうが、現在ではセンサー式が多く、小便器の前に立つと水が流れ(流れないタイプもある)、用を足し終えると、再び水が流れる。

 センサー式が普及した今では、いわゆる“流し忘れ”がなくなった。昔の押しボタン式では「ボタンをさわるのが汚い」といった理由で、わざと押さず、後ろで待っている人と目が合い、気まずい思いをした人もいるだろう。

 そして、次の“主流”になるかもしれないのが、水をまったく使わないタイプだ。究極ともいえる水が流れない小便器が、エコプロダクツ2008で展示されていたので紹介しよう。

尿のニオイをブロックする「無水小便器」

水を使わない「無水小便器」(INAX)。価格は11万5500円(工事費別途)

 INAXは8月に、水をまったく使わない「無水小便器」を販売した。無水小便器は、便器本体と尿が流れ込む専用カートリッジで構成。専用カートリッジには水(尿)よりも比重が軽いシール(密封)液が入っているため、尿のニオイを抑えるという。つまり便器から流れてきた尿はシール液を突き抜け、そのシール液が尿のニオイをブロックするというシステム。ちなみにカートリッジは取り替えの必要があり、使用頻度や環境によっても違うが、約5000〜10000万回使用すれば交換しなければならない。

 日本の男性労働人口の約10%(370万人)が無水小便器を使用(1日4回)すると、どれくらいの節水効果があるのだろうか。INAXの試算によると、旧来型の小便器(1990年以前発売の4リットル洗浄の小便器)に比べ、1カ月で東京ドーム1杯分の節水になるという。またCO2削減量は年間約8579トンで、自動車で地球1400周走行分に相当するそうだ。


水が流れない小便器

 米国では“水が流れない小便器”が主流になりつつあるそうだが、気になるのがニオイだ。小便器の下に流れ込んだ尿のニオイには“フタ”をすることができても、それ以外の部分に尿がこびりついているはず。この点について「用を足したばかりの尿には、それほどニオイはありません。もともと尿はほぼ無菌ですが、時間が経過することによって悪臭(アンモニア)が漂うのです。なのでオフィスなどでまめに小便器を掃除しているところであれば、ほとんど臭うことはないでしょう」(担当者)とのこと。

無水小便器のカートリッジ。価格は5200円

 もう1つ気になる……というより不安に感じるのは“水が流れないこと”だ。昔の押しボタン式で、わざと水を流さなかったあの罪悪感を、この最新式の小便器でも感じやしないだろうか。しかしまあ、みんなで水を流さなければ、それも怖くはないのかもしれない。

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