「渋谷でだけ見られるワンセグ」――エリア限定ワンセグが話題になる理由神尾寿の時事日想(1/2 ページ)

» 2008年12月10日 11時30分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
エリア限定ワンセグの番組イメージ

 携帯電話ビジネスの世界で、「エリア限定ワンセグ」が一躍脚光を浴びている。

 エリア限定ワンセグとは、通常のテレビ放送(サイマル放送)とは異なる映像コンテンツを、特定のエリアのみで放送するというもの。イベントスペースや繁華街、ショッピングセンター、アミューズメント施設など、“特定のテーマ”で“人が集まる場所”に向けて独自編成の放送ができるのが特徴だ。

 放送技術としては地上デジタル放送の「ワンセグ」をベースとして使い、既存のワンセグ対応携帯電話で受信できる。エリア限定ワンセグは従来の放送サービスよりも低コストかつ簡易に実現可能であり、すでに普及している携帯電話を受信端末とすることで、“その場所に集まった人に、スポット的に放送できる”のだ。

 エリア限定ワンセグの詳細については、8月に読売テレビ、NTTドコモ関西支社、日立システムアンドサービスなどが行った「わくわく宝島2008」での実証実験を、筆者がレポートした記事があるので、そちらを参考にしてほしいと思う。

大阪で行われた讀賣テレビ、ドコモ関西支社らのエリア限定ワンセグの模様。讀賣テレビ主催の夏休みイベントで、独自編成の番組を会場エリアのみで放送した。受信には既存の携帯電話を使う。スタジオ/コントロール室は簡易なものですむ。従来のテレビ放送よりも低コストで設置・運用できるのがエリア限定ワンセグの強みだ
「わくわく宝島2008」会場の配信エリア

渋谷、新宿、京都など、各地で実証実験

 筆者がエリア限定ワンセグを本格的に取材したのは今年の夏だが、その後、同様の仕組みを使うサービスが続々と登場してきた。

 例えば、東京・渋谷では、2008年11月20日から1年間、ネクストとエリアポータルが渋谷駅周辺でエリア限定ワンセグを実施(参照記事)。渋谷というコンテンツ価値の高い街で、タウンメディアとしてのビジネスおよびサービスの可能性を検証する。また同じく東京・新宿では、電通テックが新宿モア4番街で、エリア限定ワンセグの実証実験を約5日間行っている(参照記事)

 東京以外の地域では、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)、KDDI、京都パープルサンガ、京都放送、エフエム京都の5社が、京都市内でエリア限定ワンセグを用いた実証実験を実施(参照記事)。こちらも11月28日から12月6日までと短期間ながら、そのサービスや効果の検証が行われた。

 他にも、イベントにあわせたエリア限定ワンセグの活用は積極的に取り組まれている。今年11月29日には日産スタジアムで、「J1リーグ横浜F・マリノス VS 東京ヴェルディ戦」でエリア限定ワンセグの導入実験が行われた。こちらは日立システムアンドサービス、日立製作所、日立国際電気などが実施している。

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