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» 2008年12月08日 12時30分 UPDATE

近距離交通特集:日本“最西端”と“最南端”を同時に体験――沖縄県民の足、ゆいレールに乗ってみた (1/3)

沖縄の交通渋滞を解消するため、2003年に開業した「沖縄都市モノレール線(通称 : ゆいレール)」。この路線には日本最西端の那覇空港駅と日本最南端の赤嶺駅があるのだ。

[神尾寿,Business Media 誠]
ah_PA010210.jpg 沖縄県を走る「ゆいレール」

 日本最西端の駅と最南端の駅。このどちらも網羅している公共交通をご存じだろうか。本州の南、東シナ海と太平洋の間に位置する沖縄本島。ここにある「沖縄都市モノレール線(通称 : ゆいレール)」がそれだ。

 ゆいレールの営業距離は12.9Km、この区間に15駅が設置されており、方式は跨座(こざ)式モノレール※が採用されている。沖縄本島の玄関口である那覇空港駅を始発駅とし、有名な首里城の近くの首里駅までを27分で結んでいる。ちなみにゆいレールの「ゆい」は、沖縄の方言で「助け合い」を意味する「ゆいまーる」に由来しているそうだ。

※跨座式モノレール……1本の軌道桁(モノレール桁)上に車両がまたがって走行する方式の鉄道

 日本で最も南にある公共交通とは、いったいどのようなものなのか。今回の時事日想では特別編として、沖縄のゆいレールについて写真もまじえてレポートしていく。

交通渋滞緩和のために、市街地を縦断

 沖縄は典型的な「クルマ社会」だ。

 周知のとおり、沖縄は1972年の本土復帰まで米国の統治下にあり、戦後の交通システム構築も“米国型”を踏襲して行われた。戦前には路面電車など公共交通もあったが、戦後の米国統治時代は道路整備優先が徹底し、公共交通の整備で出遅れた。

 このクルマ優先の交通システム構築の影響は今でもうかがえる。沖縄の本島中心部に伸びる幹線道路は広く、太く、とても走りやすい。特に米軍基地付近を走ると、一瞬、米国の道路を走っているのではと錯覚するほど、道とロードサイドの雰囲気が似ている。このような環境下なので、住民や観光客のクルマ利用率はとても高く、交通全般に占める自動車利用の比率は約8割にも達している。

 クルマ偏重の交通システムが、都市部において渋滞問題を引き起こすのは必然だ。本土復帰後の沖縄振興開発計画で、那覇市を中心とした沖縄本島中南部地域に人口と経済が集中したこともあり、渋滞問題が深刻化。朝夕のラッシュ時にはバスの定時運行もままならない事態にも直面した。渋滞緩和と交通システムの円滑化のためには軌道式公共交通が必須という機運が高まり、1982年に第三セクター「沖縄都市モノレール株式会社」が設立。2003年に沖縄都市モノレール、通称ゆいレールは開業した。

 このようにゆいレールは、当初から都市渋滞の緩和と、経済・観光振興に主眼をおいて開業した。そのため路線は、那覇空港を起点にして、沖縄経済の中心地である那覇市の市街地を縦断するようにめぐっている。運行間隔は約10分だが、ラッシュ時にはさらに短い間隔で運行されている。

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