ハワイの地ビール、オレゴンワインを通して日本に伝えたいもの――禎・アレン・ゴードンさん(前編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(4/4 ページ)

» 2008年12月06日 07時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]
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オレゴンワインのお勧め銘柄は?

Belle Vallee(ベルバレー)の赤ワイン

 例えば、どんな銘柄がお勧めなのだろうか。「2006年に出たBelle Vallee(ベルバレー、美しい谷の意味)のピノノワールは、2007年度の『Wine Spectator's』において、世界のワイントップ100の61位にランクインしたんですよ」

 各国のソムリエの意見を集約すると、フランスのブルゴーニュの最高レベルに匹敵し、かつ価格はカリフォルニアの2分の1程度というから、確かに隠れた名品に違いない。

 しかし次の言葉には驚いた。「刺身には、ワイン、特に赤ワインは合わないことが多いですよね。でもこのワインは、とてもよく合うんですよ。ワイン自体の主張が強過ぎなくて、刺身を始め、いろいろな料理と調和するのです」

 和食にも合うというオレゴンのピノノワール。だとすれば、日本人の食生活にもフィットしそうだ。やはり、サーモンを食生活の大きな柱にしているオレゴンならではの土地柄ゆえか。「他のお勧めとしては、Viridian Wine(ビリジアンワイン)ですね。Viridianは新しいワイナリーなんですが、とにかく生産者が素晴らしい方で、将来大いに有望です。2006年のピノノワールは、非常にデリケートで軽いタッチの出来栄えで、今年のOregon State Fairでは銀メダルに輝きました。このワインも脂の乗った魚との相性が抜群で、マグロの刺身や寿司にとても合うんですよ」

 とはいえ、現在オレゴンワインは、日本では、まだ一部の店に置かれているだけだ。我々が身近なところで買えるようになるには、今後のゴードンさんの手腕に期待したいところだ。ちなみに筆者は、汐留シティーセンター42階の展望レストラン「オレゴンバー&グリル」(参照リンク)で実際にオレゴンワインを飲んでみた。ここでは上記のBelle Vallee やViridian(12月初旬から)を飲むことができる。

 ゴードンさんは、満面の笑みでオレゴンワインについて語ったあと、そっと耳打ちしてくれた。「今年は、例年以上に良質のブドウが収穫できたんですよ。ですから、来年出るオレゴンピノノワールワインには、ご期待ください」

Belle Vallee Cellarsのブドウ畑

 世界の洋酒の歴史とともに歩んできたゴードン公爵家の血筋、テイ・ゴードンさんが、満を持して2008年に取り組み始めたもの――それこそが、ハワイのコナビールの日本への輸出・販売である。それは一体、どんなビジネスなのだろうか?(後編に続く)

嶋田淑之(しまだ ひでゆき)

1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」「43の図表でわかる戦略経営」「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。


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