インタビュー
» 2008年12月06日 07時00分 UPDATE

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:ハワイの地ビール、オレゴンワインを通して日本に伝えたいもの――禎・アレン・ゴードンさん(前編) (2/4)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

 ゴードンさんの勧めで、私も、コナコーヒービール「パイプラインポーター(PIPELINE PORTER)」を飲ませていただいた。コナコーヒーとは、ハワイが世界に誇る高級ブランドコーヒーである。

 正直なところ、話を聞いたときには「コーヒービールとはいったいどんなものなのだろうか」とまったく味の予想がつかなかったのだが、実際に飲んでみると、コナコーヒー特有の芳醇な香りに包まれた非常においしいビールで驚いた。取材後、ゴードンさんにお願いして1ケース買い求めてしまったほどだ。しかも、もともとビール好きな私だけでなく、ビールが苦手なはずの編集担当まで「おいしい」と言いながら残さず1本飲んでいた。「ビール党」の男性諸氏はもとより、ふだんあまりビールを飲まない女性にもお勧めのビールなのである。

ay_hawai04.jpg ハワイで醸造している地ビール「パイプラインポーター」
ay_hawai05.jpg パイプラインポーターに使われている「KONA(コナ)コーヒー」は、ハワイのコナ島で生産される高級コーヒーだ

スコッチを世界的ブランドに育てた英国ゴードン公爵家のDNA

ay_gordon01.jpg ゴードン公爵家にまつわる洋酒の数々。左から2番目がスコッチ、右端が「Gordon's Jin」

 それではまず、テイ・ゴードンさんのこれまでの歩みを紹介しよう。

 彼の父方先祖は、英国の名門貴族ゴードン公爵家である。同家は、かつてスコットランドのハイランド(高地地方)の密造酒であったスコッチウイスキーを1823年に合法化させ(5代目ゴードン公爵)、貿易業を通じて、スコッチを世界的ブランドへと発展させていったことで知られる。洋酒党の方々にとってなじみ深い“Gordon&MacPhail”は、その代表例の1つだ。ウイスキーばかりではない。ジン(Gordon's Gin)や、ティオペペ(Tio Pepe Sherry)もまた、ゴードン家によって世界的ブランドになった。ゴードン家は、まさに世界の名酒の発展の歴史とともにあったと言って過言ではない。

 そのDNAを継承したゴードンさんは、今、コナビールともう1つ、ハワイと縁の深いオレゴンのワインを日本に輸出・販売するビジネスを展開しているのである。

天才少年、12歳で起業

 1970年、ゴードンさんと妹は、米国のオレゴン州で、ゴードン公爵家を祖先に持つ父親(省エネルギーエンジニア)と、日本人の母親(山口県岩国市出身、1960年代に奨学金で米国に留学)のもとに生まれた。

 小学校から大学まで、基本的にはオレゴンを拠点にしつつ、米本土とハワイ、そして日本を行きつ戻りつする日々を送ったという。「父方の従兄弟たちがハワイのマウイ島にいた関係で、ハワイにはよく行きましたね!」

 そんなゴードンさんを語る上で欠かせないのが、その早熟なビジネスセンスである。

 「12歳で起業しました。天気情報の会社なんですが、当時は珍しかったコンピューターを活用した、いわば前例のないビジネスモデルだったこともあり、ニューヨークタイムズなどメディアにずいぶん取り上げられました。でも、一番印象深かったのは、サウジアラビアの富豪が、1億円でビジネスを買いたいと申し出てきたことでしょうか」

ay_hawai07.jpg ゴードンさんが12歳のときに始めたビジネスは、“National Geographic”(左)や“The Sunday Oregonian”(右)などさまざまなメディアに取り上げられた。ちなみにプログラムはCOBOLで書いていたそう

 天才少年として異才を放っていたゴードンさんは、ユニバーシティ・オブ・オレゴンに入学する。「私は3つ専攻しました。ビジネスマネジメント、インターナショナルビジネス、そして、アジアスタディーズです」

 アジアスタディーズでは、日本の古典文学や中国やインドの芸術を含め、アジアについて広く学ぶのだが、この専攻を選んだのには理由がある。「国際ビジネスを展開する際には、お互いに相手国の文化や歴史を知ることが大切です。それを知らずに、プロダクトだけ売買しようとしても、決してうまくは行きません」。

 国際ビジネスを展開するには、互いに相手の国の文化や歴史を知ることが大切――そして私は思い出す。第二次大戦時、日本では、敵性言語として英語を学校教育から放逐したのに対し、米国は逆に、日本の言語・歴史・文化・国民性を徹底的に研究したことを。「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」という「孫子の兵法」を実践しているのは米国なのかもしれない。

一橋大学大学院、NTTコミュニケーションズ、そして……

 同大学を優等で卒業した彼は、2001年に一橋大学の大学院に入学し、2年間MBA(経営管理学修士)コースで学んだ。この日本での2年間が、彼のその後の人生を大きく決定づけることになる。

 「GECO(ゲッコ)という会社を立ち上げました。ヤモリ(gecko)に由来しています。ヤモリは、ハワイでも、母の故郷の山口県でも、幸運を象徴する生き物と言われているんです。それと同時に、Gはグローバル、ECOはエコロジーとエコノミーを象徴しています」。

 ゴードンさんの深い想いが込められた社名のようだが、GECOではどのようなビジネスを展開しているのか?「エコロジカルな商品を扱う海外企業が日本市場へ参入するためのコーディネイト&コンサルテーションと、日本企業のグローバル戦略のコンサルテーションを行う会社です」。

 その初取引先となったのがNTTコミュニケーションズだった。「前社長のアドバイザーを務めました。同社のグローバルコミュニケーション担当のアドバイザー、海外メディア向けスポークスマンといった業務内容でした」

 2003年から2008年8月まで務めた彼は、この間に、日本のビジネス社会の価値観や体質を修得した。こうした貴重な経験を積みながら、しかし、同時に、ゴードン公爵家のDNAを継承する“お酒+貿易”のビジネスに本格参入してゆく。

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