「友人の友人はアルカイダ」を思い出した宮崎駿監督の会見報道誠 Weekly Access Top10(2008年11月22日〜11月28日)

» 2008年12月01日 17時35分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は、「悪人を倒せば世界が平和になるという映画は作らない――宮崎駿監督、映画哲学を語る(前編)」。今回はランク外だったが、11月28日に掲載した「『世界は美しいものなんだな』と感じてくれる映画を作りたい――宮崎駿監督、映画哲学を語る(後編)」も多くのアクセスを集めた。

 11月20日に日本外国特派員協会で行われた会見から1週間後の記事で、ほかの媒体でも速報が出ていたにも関わらず、多くの人に興味を持って読んでもらえたようだ。

本筋から離れた発言に注目が……

 実はこの会見、当初の報道では本筋から離れた発言に注目が集まっていた。

――麻生首相がアニメ・漫画好きと公言されていますが、これをどうお考えになっていますか?

宮崎 恥ずかしいことだと思います。それはこっそりやればいいことです。

 この発言を取り上げる媒体がいくつかあり、話題となっていたのだ。ただ、記事を読んでいただければ分かる通り、この部分は確かに刺激的な発言ではあるが、会見の本筋からは外れている。「人目は引くかもしれないけれど、もっと重要な発言があったような……」と筆者は違和感を抱いていた。

 とはいえ、本筋から外れた刺激的な発言が取り上げられて、本筋がかすんでしまうことはしばしばあること。2007年10月29日に日本外国特派員協会で行われた鳩山邦夫氏の会見が、筆者の記憶に残っている。

 当時法務大臣だった鳩山邦夫氏は、死刑制度についての考え方を会見で説明した。しかし、質疑応答でテロ対策について聞かれた時、日本国内にも危険性があることを示そうと「友人の友人にアルカイダがいる」と発言。これが大々的に報じられて、それまで冷静に話していた死刑制度の話が、全くかえりみられなくなったのだ(これは本筋が変わってしまった例かもしれない……)。

 はてなブックマークをみていると、今回、宮崎監督の会見のほぼ全文を掲載したことで「読んでみて印象が変わった」というコメントがあった。テレビや新聞だと放送時間や紙面の制約があるため、全体を伝えることは難しく、刺激的な発言だけを取り上げることもある。刺激的な発言以外も伝えるためには、紙面や放送時間の制約がないネットの役割が大きいなと、今更ながらに思った。

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