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» 2008年12月01日 07時00分 UPDATE

それゆけ!カナモリさん:なぜマックは“高級バーガー”と言わないのか? クォーターパウンダーの売り方 (1/3)

重さ4分の1ポンド、通常の2.5倍の牛肉パテが入っている「クォーターパウンダー」を発売したマクドナルド。かつて「マックグラン」などを販売し、1年で撤退したマクドナルドだが、なぜこのタイミングで発売したのだろうか?

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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2008年11月28日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


11月18日 マクドナルド「クォーターパウンダー」に見るリーダーの王道戦略

yd_mac.jpg ダブルクォーターパウンダー・チーズ(出典:日本マクドナルド)

 表参道の「QUARTER POUNDER(クォーターパウンダー)」に行ってみた。マクドナルドの新商品「クォーターパウンダー」のみを扱う、期間限定の販促店舗である。12時少し前であったが、オープン当初報道で見たほどの行列はなかった。

 クォーターパウンダーは重さ4分の1ポンド(約113グラム)、通常の2.5倍の肉厚の牛肉パテが入っている。さらにパテ2枚の「ダブル」もある。

 パテ2枚なら「ハーフパウンダー」では? などと思いながら、試してみるとかなりのボリューム。マクドナルド色を一切消して、新たに日本に進出してきたハンバーガーチェーンといった風情の店内のせいだろうか。味も通常のマクドナルドの味とは少し違う気がしてくる。

 表参道と渋谷にオープンしたこのクォーターパウンダー専門店は、プロモーションやアンテナショップ的な役割が強く、このメニューはマクドナルド通常店に12月には展開されていく。

 それよりも、この商品をマクドナルドがこのタイミングで、この価格に設定したことに深い戦略があると思うのだ。

 マクドナルドには「高級バーガー」で痛い目を見た過去がある。2004年の「マックグラン」だ。

 「ハンバーガーの王道」と華々しくデビューした3つのハンバーガー、「マックグラン」「ダブルマックグラン」「トマトマックグラン」は、上昇気流に乗れず、1年ちょっとで撤退したのである。

 しかし、今、時は満ちている。メタボ対策や、健康志向の高まりに対する反動であろうが、「メガマック」は成功を収めた。大きいものを好む層を確実に取り込んだのだ。しかし、その層を確保するだけであれば、メガマックを続ければいいだけのはず。なぜ、クォーターパウンダーを販売させたのか。

 アンテナショップとしての表参道・渋谷の店が表わすように、「海外のマクドナルドで展開されている由緒正しいメニューである」とポジショニングされた商品なのだ。ただの「メガマック」の親戚ではないと。

 全国的にハンバーガーはブームであるのは確かだ。各地の独自の食材を用いた「ご当地バーガー」や、高級食材を用いた「高級バーガー」など、全国チェーンのハンバーガーとは一線を画すメニューが人気を呼んでいる。

 例えば、高級路線の老舗では、ハワイ生まれの「KUA` AINA(クア・アイナ)」がそうだ。クア・アイナでは、最もスタンダードな3分の1ポンドのハンバーガーが850円。2分の1ポンドは1050円だ。かなりのボリュームだが、値段もなかなかである。

 ここでマクドナルドの価格戦略を見てみよう。「クォーターパウンダー」が一般店で単品で発売される際には「ダブル」で480−490円になるという。

 同じ土俵で比べるのはムリがあるかもしれないが、「海外で販売されている本格バーガー」というポジショニングの商品としては破格だろう。

 この戦い方はマクドナルドならではの「コストリーダー」の戦い方の典型だといえる。

 コストリーダーは「高級バーガー」というような狭いカテゴリーで戦うことはしない。広い市場でコスト、つまり圧倒的な調達力を武器に戦う。

 そして、リーダーの戦い方の得意技は「同質化」である。市場の中の目立った競合と同じような商品を販売し、圧倒的な販売力で競合の存在をかき消してしまうやり方だ。

 さすがに、「高級バーガー」と言い切ることはしないし、すべての競合を消し去ることはできないが、消費者には「この値段でそこそこなら、まあいいか」と思わせてしまう効果はあるだろう。

 つまり、今回の「クォーターパウンダー」はコストリーダーたる、マクドナルドらしい戦い方であると考えることができるのだ。100円マックや100円プレミアムコーヒーなど、低価格メニューの提供をしつつ、こうした同社としての高単価メニューを導入することによって、マージンミックスをうまく図っているのである。

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