出張のとき、こんなホテルに泊まってみたい――九龍「W香港」編集長ヨシオカの香港レポート(1/3 ページ)

» 2008年11月28日 22時22分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 出張の時には必ずお世話になるのがホテル。一泊数千円のビジネスホテルから、一泊数万円するラグジュアリーホテルまで選択肢はさまざまだが、正直なところ記者は、「仕事の時は下手に立派なホテルより、そこそこ安いビジネスホテルがいいな」と思うことが多い。

 別にケチで言っているのではないのだ。仕事で泊まるホテルに求めるのは、豪華さよりもまずは“機能”。具体的にはアクセスの良さ、部屋が明るいこと、インターネットが使えることが3大条件。さらに言えば、コンビニが近くにあって、禁煙ルームが選べるとうれしい。これさえ満たしていれば、安いビジネスホテルで十分。

 もちろん、高級ホテルが嫌いなわけではない。いいホテルはなんといっても万事にわたってスタッフの気配りが利いていて心地よく滞在できるし、部屋も広くゆったりとして気持ちが開放的になる。大きくてふかふかなベッドや枕は寝心地が良いし大好きだ。だがこういった心遣いは「リラックス」の方向に効くもので、「仕事頑張るぞ!」という気持ちとは逆のベクトルに働きかけるように思える。

 そういう意味で、仕事モードのときと旅行モードのときは、ホテルに求めるサービスが異なってくる。例えば部屋が間接照明だけだったりすると、通常の旅行なら「雰囲気がいい部屋だな」と感じるところを、出張時は「ノートPCの画面が見づらい」と不満に思ってしまう。また、朝食が豪華なバイキングで、作りたての卵料理や焼きたてのパンが食べられたりする場合、旅行のときは「やっぱりいいホテルは違うなぁ。時間をかけていろいろ食べてみたい」と思うのだが、これが出張時だと「時間がないからコーヒーだけでいいや」となりがち。喫茶店のモーニングセットのほうがむしろ気楽なくらいだ。ホテルの朝食に望むことがあるとすれば「仕事が終わったら直帰だろう。せめてこの土地の料理をちょっとくらい食べてみたかったな」といったことだろうか。

 仕事で泊まるホテルに求めるのはなんといっても機能性。必要な機能さえそろっていれば、安いホテルで十分だ――そう考えていた記者だが、今回の香港出張で泊まったホテルではその意識を覆される体験をした。「次に仕事で香港に来ることがあったら、またぜひここに泊まりたい」と思ったのだ。

W香港とは?

 香港の空港から市街中心部へ向かうには、「機場快線(エアポートエクスプレス)」と呼ばれる電車に乗るのが手っ取り早い。エアポートエクスプレスの九龍駅の真上に、今年8月8日にオープンしたばかりのホテルが「W香港」だ。ホテルの足元には、2007年にオープンしたばかりの大型ショッピングモール「ELEMENTS(エレメンツ)」がある。

エレメンツの入り口は、エアポートエクスプレスの九龍駅の真上

 九龍駅から香港国際空港まではエアポートエクスプレスで24分※、駅の中で飛行機のチェックインができるなど、空港利用者にとってのアクセスは抜群(成田の不便さを考えると夢のようだ……)。エアポートエクスプレスは約15分おきに走っており、香港島の「中環(セントラル)」へは8分と、香港の市街中心部に出るのもすぐだ。空港のそばにある展示会会場、アジアワールドエクスポに出るのも便利で、海外から香港へやってくるビジネス客にとっては、非常にありがたいロケーションなのである。

W香港のエントランス

 W香港は総客室393部屋(3タイプのスイート・42部屋を含む)の大型ホテルで、ベストレートはシングル1泊で2800香港ドル前後。1香港ドル=13円で3万6000円以上と、決して安いホテルではない。

 「Wホテル」は、世界26都市に展開しているホテルチェーンで、今年で10年目を迎える。シェラトン、ウェスティンなどと同じ、スターウッドグループのホテルである。W香港は、Wソウル、Wモルディブに続くアジアで3番目のWホテルとなる。今後アジアでは、W上海、W横浜のオープンが予定されている。

 Wという面白い名前は、「どんなホテルを作りたい?」というコンセプトを考える時に出てきた言葉からできたという。Wホテルのオープンに際し、スタッフが考えた基本コンセプトは“WHATEVER/WHENEVER”、つまり「ゲストのリクエストには、いつでもどんなことでも応えよう」という想いだった。さらに“Wow!”“Wonderful”(とゲストが驚くようなサービス)、(ゲストを迎え入れる)“Welcome”など、目指すサービスを表現する言葉を考えていくうちに「Wで始まる言葉って、いい意味の言葉が多いね」「その頭文字を取って『W』という名前にしよう」……というやりとりを経て決まったという。

Wホテルのコンセプトは“WHATEVER/WHENEVER”。フロントにもこんな置物が置かれていた

 W香港が提供するサービスは、例えばシェラトンやヒルトンといった外資系の大手ホテルチェーンや、日本なら帝国ホテルなどの老舗ホテルのそれとは確かに異なるものだった。実際記者は2泊3日の滞在中、何度となく「おお!」と思ったくらいだ。もし記者が英語を母国語としていたらおそらく、ホテルの狙い通り“Wow!”と口にしていたことだろう。W香港のどこが“Wow!”なのか、次のページからご紹介したい。

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