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» 2008年11月27日 17時40分 UPDATE

Webビジネス小説「中村誠32歳・これがメーカー社員の生きる道」:最終話 中村誠32歳、選択の時 (1/4)

新商品開発プロジェクトは、半年間の成果を役員に報告し、一区切りつくことになった。しかし誠はあらためて自分の今後を考えることになる。製品の販売立ち上げまでプロジェクトを見届けるのか、それとも……。

[眞木和俊,Business Media 誠]

この物語は……?

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 中村誠、32歳。静岡県出身、東京の中堅私立大学を卒業し、彼女いない歴3年。加工食品メーカー「アイティフーズ」に入社してちょうど10年目を迎える中堅社員です。誠が社会人として働いてきた10年間は、日本経済が停滞し“失われた10年”といわれた時代。年功序列制度が成果主義に代わり、後輩が入らず今までずっと下っ端として働いてきた誠も、そろそろ「中堅社員」と呼ばれる年代になってきました。

 これまでマネジャーとすら呼ばれたことがない誠は、ある日突然、社内プロジェクトのリーダーに登用されます。ビジネスリーダーの心構えとは? 部門横断型のプロジェクトを成功させるコツとは? 本連載では小説形式で、誠が奮闘しながら成長していく姿を描いていきます(登場人物一覧は記事の最後にあります)。

前回までのあらすじ

 食品メーカー・アイティフーズで、新しい大豆飲料を開発するプロジェクト“イソプロチーム”のリーダーを務める中村誠。半年にわたるプロジェクトの成果を全役員に向けて報告する「プロジェクト成果報告会」を無事に終えることができた。

 発表内容が適切だったこと、さらに発表を行いながら試作品を役員に配り試飲してもらうという演出が奏功し、小石川社長は新商品の製品化を承認した。しかしそれは「通常6カ月かかる販売立ち上げを3カ月に短縮せよ」という条件付きの承認だった。


 たった今、プロジェクト成果報告会の終わったばかりの会議室を出て、懇親会場の社員食堂に向かう誠の偽らざる心境は「一難去ってまた一難」だった。

 まったく参っちゃうよなあ。社長に試作品を飲ませようっていう仲居先輩の作戦が、効きすぎたのかな……この先、僕はどうなっちゃうんだろう?

 “考えただけで頭の痛くなるような困難”という小石川の発言は刺激的すぎた。その言葉が頭の中をぐるぐると回ったまま廊下を歩いていると、後ろから製造部長の東山貞治に呼び止められた。

東山 さっきのプレゼンテーションは見事だったよ。役員たちの評判も上々だったようだし、君もリーダーとして立派に一人前だと認められたんじゃないかな。

 東山部長は、社長の次の依頼内容をご存じだったのですか?

東山 そうだな。次期テーマのだいたいの選定が終わったとは聞いていたが、まさか今回の報告会の場で具体的な指示が出てくるとは思わなかった。きっと、今日の報告で君たちの作った新商品への期待が急激に高まったからじゃないか?

 そうですか……これから僕の仕事はどうなるのでしょう?

東山 まだ特に決まっていないはずだよ。とにかく、今のプロジェクトが完了するまで、あと少し頑張ってもらいたいな。もし最終製品化まできっちりと見届けたいというのなら、また昔のように水戸工場で量産立ち上げをやってもらっても構わないぞ。

 ……分かりました。

東山 私はいったん席に戻ってから懇親会に顔を出すつもりだから、また後ほど。

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