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» 2008年11月21日 20時50分 UPDATE

神尾寿の時事日想・特別編:北海道に交通ICカード登場――Kitaca旋風どこまで続く? (1/2)

10月25日にスタートしたJR北海道の交通ICカード「Kitaca」。サービス開始から3週間で発行枚数が6万枚を突破するなど、滑り出しは順調なようだ。Kitacaの現状や今後の戦略について、JR北海道の一條雅弘氏に尋ねた。

[神尾寿,Business Media 誠]

 北海道、札幌。日本最北の政令指定都市で、北海道の政治・経済の中心地である街に、初の交通IC乗車券が導入された。10月25日にスタートしたJR北海道の「Kitaca」である

 Kitacaは、非接触IC「FeliCa」をベースに、JR東日本の「Suica」と同じ日本鉄道サイバネティクス協議会の共通規格に対応している。JRグループとしては「Suica」、「ICOCA」、「TOICA」に続く、4番目の交通ICカードになる。

 札幌の街で、Kitacaはどれだけ受け入れられたのか。

 今回の時事日想は特別編として、サービス開始後、約3週間が経過した札幌を筆者が訪問(※)。Kitaca開始後の状況と、利用の様子について現地からリポートする。

※本記事の取材は11月14日に行いました。

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経営規模に合わせて、コンパクトに交通ICを導入

ah_itizyo.jpg 北海道旅客鉄道(JR北海道) 鉄道事業本部 Kitaca事業室長の一條雅弘氏

 「Suicaの成功で、交通ICカードがお客様の利便性向上につながることは分かっていました。ですから、当社の規模にあった交通ICカードを導入したかった」

 北海道旅客鉄道(JR北海道) 鉄道事業本部 Kitaca事業室長の一條雅弘氏は、Kitacaの企画開始当時をそう振り返る。導入検討開始は2005年。Suicaが交通IC・電子マネーともに広く普及拡大し、首都圏の交通システムの世界を先進的なものに変えていたころだ。

 「北海道の皆さまに、Suicaの利便性を是非とも提供したい。しかし、交通ICカードは投資規模が大きいものですから、(JR北海道の)経営規模に収めることが重要な課題となりました」

 地方の公共交通でICカード導入を行う場合、最大の難関となるのが投資規模と経営規模の不均衡である。交通ICは駅設備の刷新からシステム投資、ICカードの発行まで大きなコストがかかるため、人口拡散型で公共交通の利用率が低い地域では、費用対効果の点から導入が難しい。しかし、その点でJR北海道は恵まれていた部分もあったという。

 「北海道の場合、“札幌圏”と呼ばれる札幌近郊に人口や経済が集中しています。当社の輸送実績で見ましても、全体の(鉄道)利用数の約6割が札幌圏の近距離交通に集中している。残りは都市間移動となる優等列車のご利用ですので、Kitacaを導入すべきエリアは集約されていたのです」

 Kitacaのサービス提供エリアは、札幌を中心とした55駅。これらKitaca対象駅すべての利用人員は、1日当たり約15万人となる。このうち7万7000人が定期券利用者という内訳だ。当面のJR北海道の目標としては、これら対象駅の利用者を順次Kitacaに切り替えていくことにある。

 「まず定期券の利用者は、(定期券の)更新に合わせてKitacaに切り替えていただけると考えています。およそ9割の6万9000人ほどがKitaca定期券になるのではないかと試算しています。それに乗車券の利用も加えて、当面の普及枚数の目標は9万5000枚を見込んでいます」

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