そもそも、なぜ首都圏に複数の環状線が必要なのだろうか。
現在のところ、9つの放射路線にすべて接続しているのは、3環状の内側、都心に位置する「首都高速道路都心環状線」(通称C1)だけとなっている。このため、例えば東北地方から東海・関西方面に向かうためには、東北道や常磐道からC1を通過して、東名高速や中央道に向かうことになる。
国土交通省の調査によると、C1を走行する自動車の約60%が、東京を通過するためだけに利用しているという。C1を乗り換えのためにだけ利用する自動車を複数の環状線に分散することができれば、首都高の慢性的な渋滞が大幅に緩和されることは想像できるだろう。
3環状9放射の各路線の建設状況はどのようになっているのだろうか。
まず9放射については、おおむね完成したと言ってよいだろう。1960年に京葉道路の供用※が始まったのを皮切りに、1969年に東名高速道路が全線開通、1985年の関越自動車道全面開通、1987年の東北自動車道全面開通と、首都圏と地方を結ぶという目的の下に次々と高速道路が完成していった。
その一方で、3環状については大幅に整備が遅れている。構想から約40年を経た21世紀に入った時点で、3環状の整備率は当初の計画の2割にも満たない状況となっている。これからどのように完成させていくのだろうか。以下、3環状それぞれの路線の建設状況を見ていこう。
3環状のうち、もっとも都心に近いのが「首都高速道路中央環状線」(通称C2)、完成すれば総延長約47キロメートルの路線だ。冒頭でも触れたが、2007年12月に全区間が地下トンネルで構成される「西新宿JCT−熊野町JCT」が開通したことで話題となった。
首都高速道路中央環状線は現在、湾岸線と接続する葛西JCTから、中央道へとつながる4号新宿線と接続する西新宿JCTまでの約33キロメートルが開通済み。2009年の新宿−渋谷、2013年の渋谷−大井町の開通で完成する予定だ。
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