第13話 プレゼンテーションで注意すべきこととは?Webビジネス小説「中村誠32歳・これがメーカー社員の生きる道」(1/4 ページ)

» 2008年11月19日 14時55分 公開
[眞木和俊,Business Media 誠]

この物語は……?

 中村誠、32歳。静岡県出身、東京の中堅私立大学を卒業し、彼女いない歴3年。加工食品メーカー「アイティフーズ」に入社してちょうど10年目を迎える中堅社員です。誠が社会人として働いてきた10年間は、日本経済が停滞し“失われた10年”といわれた時代。年功序列制度が成果主義に代わり、後輩が入らず今までずっと下っ端として働いてきた誠も、そろそろ「中堅社員」と呼ばれる年代になってきました。

 これまでマネジャーとすら呼ばれたことがない誠は、ある日突然、社内プロジェクトのリーダーに登用されます。ビジネスリーダーの心構えとは? 部門横断型のプロジェクトを成功させるコツとは? 本連載では小説形式で、誠が奮闘しながら成長していく姿を描いていきます(登場人物一覧は記事の最後にあります)。


 食品メーカー・アイティフーズで、新しい大豆飲料を開発するプロジェクトのリーダーを務める中村誠。通称“イソプロチーム”のプロジェクトも、そろそろ終盤にさしかかろうとしていた。プロジェクトの成否を左右するモニター評価はなんとか期限内に終了し、新商品のコンセプトも絞り込まれた。そしてついに、全役員に向けて行う「プロジェクト成果報告会」が来週に迫ってきた

 成果報告会では、役員に対して誠がプレゼンテーションを行うことになる。誠は、久々に会った“師匠”星野に、プロジェクト成果を発表する資料の準備状況を説明していた。

 各プロジェクトの発表時間は25分間で質疑応答が10分間、原則としてリーダー自身がプレゼンテーションを行うことになっています。そのためプレゼンに使う資料は、スライド30枚以内にまとめるよう推進事務局から指示されました。でも僕たちのプロジェクトでは何回も調査を行い、データを集めたので、とても全部は説明しきれないと思うんです。

星野 確かにそうでしょうね。

 それにチームメンバーも本当によく頑張ってくれたし……。僕は今回、結論だけでなくプロジェクトの経緯や具体的な調査結果などについても、紹介したいんです。

星野 よく分かりました。ところで中村さん、この報告会の“主役”は誰だと思いますか?

 主役ですか。うーん、プロジェクトを実行した僕たちと言いたいところだけど、やっぱり社長じゃないでしょうか。一番偉い人だし、このプロジェクトの依頼主でもあるので。

星野 なるほど。では、プレゼンテーションで最も注意すべきことは何だと思いますか?

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