偽エコロジーを見逃すな――ドイツの“エコ度”チェックシステム松田雅央の時事日想・特別編(1/2 ページ)

» 2008年11月18日 11時30分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 CMなどを見ても分かる通り、世の中には“エコ”をキャッチフレーズとする商品があふれている。しかし“環境に配慮した製品やサービス”、いわゆる“エコプロダクツ”が本当にエコなのか、あるいはどの程度エコなのかを判断することはなかなか難しい。例えば、“自社の従来製品より省エネ性能が数%アップ”を根拠にしている企業もあるが、消費者としては他社製品と比較できる客観的な基準がなければ困る。

 しかし、EU諸国で販売される冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、食器洗い機などいわゆる白物家電には、省エネルギー性能の表示“ユーロラベル”が添付されており、電力使用量や省エネの度合いが一目で判断できるようになっている。ユーロラベルにはG(低性能)からA(高性能)までのクラスがあり、Aを超えるものにはさらに“+”や“++”が付記されている。

冷蔵庫の省エネ性能を示すユーロラベル

長い目で見れば経済的

 省エネ性能は製品の付加価値でもあるため、クラスが上がれば価格も高くなるが、電力使用量を抑えられるために長い目で見れば元が取れる。エコロジカルであることがエコノミカル、環境に良い製品を購入すると経済的なメリットがある仕組みだ。

 例えば省エネ性能の違う2つの冷蔵庫で経済度を計算してみよう。

タイプI(省エネ性能クラスA):年間電力消費量157キロワット時/年

タイプII(省エネ性能クラスC):年間電力消費量376キロワット時/年

 電気料金が0.15ユーロ/キロワット時なら年間電気料金は、タイプIは23.6ユーロ、タイプIIは56.4ユーロとなる。15年使用する場合、電気料金の差額は482ユーロとなり、価格の高いタイプIを購入しても十分お釣りが来る。洗濯機の電力消費量は使用頻度により変わってくるが、消費者にとって省エネ性能が購入時の決定的な基準になっていることは間違いない。

 1998年の制度導入から10年が過ぎ、最近の製品では多くがクラスAを達成している。クラスCやDの製品になると、時代遅れというネガティブな印象を受けるほどである。ユーロラベル制度は消費者の環境意識と製品選択基準、そしてメーカーの姿勢を急速に改革した。

集合住宅で共同利用されている洗濯機
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