香港2日目に夕飯を食べに行ったのは、最近人気だという灣仔(ワンチャイ)のおしゃれな火鍋屋「美味廚 Megan's Kitchen」。白を基調とするきれいな店内には若いお客が多い。2つに仕切られた鍋の中身は、片方は干しエビや貝柱でとったオーソドックスなスープだが、もう片方はなんとタイ料理のトムヤムクン味。白く泡立ち、上に茶色い粉が振ってあるのでその名も「カプチーノ鍋」という面白くておしゃれな鍋だった。
そんなおしゃれな火鍋をおなかいっぱい食べた最後のこと。日本の鍋なら「雑炊にしますか? うどんにしますか?」というタイミングで店員さんがしずしずと持ってきたのはやっぱり「出前一丁」。しかも粉末スープ付きだ。トムヤムクン味の火鍋に入れて食べた出前一丁は、つるつると懐かしい味がした……。
朝食から夕食まで。香港人にこれだけ出前一丁が愛されているのはなぜなのか? 日本にはほかにもたくさんのインスタントラーメンがあるのに……不思議に思い、日本に戻ってから、日清食品に取材してみた。
「はい、香港(のインスタントラーメン)では出前一丁がトップシェアです。種類はかなり頻繁に入れ替わるのですが、袋麺だけで常時10種類以上はあります」(日清食品広報部)。なるほど、スーパーで乾麺コーナーの棚を占拠していたのはダテではなかったのだ。いったいいつごろから香港では出前一丁が販売されるようになったのだろうか?
「(香港への輸出は)1980年代からです。日本製の袋入りインスタントラーメンとして初めて登場したのが『出前一丁』でした。日本からの輸入品ということで高級感があると感じてもらえたようです。また当時、湯かけタイプではなく、煮込みタイプなことも『おいしい』と評判になったそうです」(同上)
ちなみに出前一丁の袋に印刷されているキャラクター「出前坊や」は、香港では「清仔(チンチャイ)」と呼ばれて非常に人気があり、キャラクター商品も各種販売されている。記者も香港で出前坊やが大きくプリントされたバスが走っているのを見かけたことがある。
「香港で出前一丁が愛されている理由は、上記の『煮込みタイプでおいしい』ということと、清仔人気が大きな2つといえると思います」(同上)
日本でもおなじみの商品が外国で根付いているのを見るのはうれしいもの。日本よりもさらに愛されているとなればなおさらだ。
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