デジタル家電に地殻変動――薄型テレビは成長減速、PCはミニノートPCが好調(1/2 ページ)

» 2008年11月07日 12時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 市場調査会社のBCNは11月6日、「年末商戦直前 デジタル家電需要と消費不況の影響」と題した記者発表会を開催。全国大手家電販売店のPOSデータをもとに、デジタル家電4品目(薄型テレビ、PC、レコーダー、デジタルカメラ)の足元の需要状況を発表した。金融危機の影響が懸念される年末商戦だが、足元の売れ行きは品目によって大きく異なっているようだ。

薄型テレビは販売金額が前年比でマイナスに

 10月の薄型テレビ(液晶テレビ+プラズマテレビ)販売台数は、前年同月を11.0%上回ったが、単価が安くなったため販売金額ではマイナス1.8%となった。販売金額が前年同月比マイナスとなったのは2007年5月以来2回目のこと。「2007年5月にマイナスとなったのは2006年にワールドカップ特需があった反動だが、今回は状況が違う。金融不況の影響で、高額商品を中心に消費が低迷しているようだ」(BCNアナリストの田中繁廣氏)。

液晶テレビの販売台数・金額の推移(左)、プラズマテレビの販売台数・金額の推移(右)

 画面サイズ別に販売台数の推移を見ると、40型以上が伸び悩んでいる。「メーカー側が想定していたほど、薄型テレビの売れ筋が大型にシフトしていかなかった。日本の住宅事情を考えると、今後も30型が売れ筋となるのではないか」(田中氏)。

 また、40型以上になると価格が大幅に上がることも(10月の平均単価は30〜40型11万9300円、40〜50型19万9700円)、普及が進まない一因となっている。

薄型テレビの販売台数・金額の画面サイズ別構成比(左)、画面サイズ別平均単価(右)

 薄型テレビのシェアは、40%台を保ってきた1位のシャープが10月に39.6%とシェアを落とす一方、10%台だった2位のパナソニックが23.0%に伸ばしている。「パナソニックは、プラズマテレビと液晶テレビの両面展開がうまくいっているようだ」(田中氏)。

薄型テレビのシェア推移

ミニノートPCがPC市場をけん引

 PCの販売台数は、7月までは2007年をやや上回る程度で推移していたが、8月以降は20%以上伸びている。その原動力となっているのが、低価格を売りにしたミニノートPC※だ。

※BCNでは画面サイズが10.2インチ以下のノートPCをミニノートPCとしている
PC販売台数・金額の推移(左)、ノートPC販売台数・金額の推移(右)

 10月のミニノートPCの平均単価は4万8800円と5万円を切り(B5モデルは11万6600円、A4モデルは17万9600円)、ノートPC販売台数に占める比率は25.0%まで上昇した(2007年10月は1.9%)。夏場までは7インチのミニノートPCが売れていたが、7月以降は8.9インチのミニノートPCが売れ筋になっている。

 「ミニノートPC人気で、PC売り場に客が戻っている。今後、既存ノートPCの中心であるA4モデルの市場を、5万円前後のミニノートPCが切り崩す展開も現実味を帯びてきた」(田中氏)

ノートPCタイプ別単価推移、ノートPC販売台数タイプ別構成比(左)、ミニノートPCの画面サイズ別販売台数構成比(右)

 成長著しいミニノートPCのシェア(10月)は、日本エイサーとASUSが40%弱で並んでいる。PC全体ではNEC(15.7%)、富士通(15.6%)、ソニー(14.1%)、東芝(12.3%)の国産4強が依然上位を占めているが、ミニノートPC勢の日本エイサー(10.2%)やASUS(7.5%)が急追する形になっている。

ミニノートPCのシェア推移(左)、10月のPCのシェア(右)

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