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» 2008年11月04日 11時00分 UPDATE

えっ、ウォシュレットからボールペンに? TOTO茅ヶ崎工場に行ってきた (1/2)

不要になったウォシュレットを試験的にリサイクルしているTOTO。「ウォシュレット」といえば、トイレの中にあるため“汚い”と感じる人も多いはず。それがボールペンに変化すると聞いたので、リサイクルをしている茅ヶ崎工場を訪問してきた。

[土肥義則,Business Media 誠]
yd_pen.jpg 不要になったウォシュレットからリサイクルしてできたボールペン

 「さあ、ニオイを嗅いで下さい」。というのはTOTO茅ヶ崎工場安全環境グループ リサイクルチームの鈴木雅詔(すずき・まさのり)さんだ。

 机の上に置かれた1本のボールペン。といってもただのボールペンではなく、使用済ウォシュレットからリサイクルされたもの。「ボールペンを使ってください」「手に取ってください」というのであれば理解できるが、「ニオイを嗅いで下さい」と言われたのには面食らってしまった。

 恐る恐るボールペンを取り、ニオイを嗅いでみた。しかし文具のニオイしかしないことを確認した記者に安堵した表情が漂っていたのだろうか、「もちろんヘンなニオイはしませんよ」と鈴木さん。「このボールペンは非売品ですが、文房具屋で売っているものと同じですからね」と笑って話かけてくれた。

 TOTOでは2000年10月から、家の建て替えやリフォームなどによって出てくる不要なウォシュレットのリサイクルに取り組んでいる。使用済ウォシュレットは神奈川エリアの一部に限定して、試行的に回収しており、集められたウォシュレットを茅ヶ崎工場でボールペンへと生まれ変わるのだ。トイレに設置されていたウォシュレットがどのようにして、ふだん私たちが使うボールペンへと再生されるのか。茅ヶ崎工場を訪ね、鈴木さんに案内してもらった。

月に約400台の使用済ウォシュレットが運ばれてくる茅ヶ崎工場

 神奈川エリア以外では、使用済ウォシュレットをどのように処理しているのだろうか。まず家の建て替えなどで不要になったウォシュレットを取り外し、それを埋立地などで処理するケースが多い。しかし神奈川エリアでの試みは、取り外された使用済ウォシュレットを一部のメンテナンス(子会社)が保管。それを認可された業者が回収し、茅ヶ崎工場へと運ぶという仕組みだ。

yd_chigasaki.jpgyd_chigasaki1.jpg 茅ヶ崎工場ウォシュレットリサイクル棟の入口(左)、工場の屋根にはソーラーパネルがあり、その使用状況が表示されている(右)

 茅ヶ崎工場には月に約400台のウォシュレットが運び込まれ、これまで約2万6000台をリサイクル。「家電リサイクル法の対象となっているテレビや冷蔵庫などは、きちんとした流通システムがある。しかしウォシュレットの場合は家電リサイクル法には該当せず、流通システムが整備されていないので、手探り状態で回収を始めた」(鈴木氏)と当時のことを振り返る。

 茅ヶ崎工場に運び込まれたウォシュレットは、まず高圧水で1つ1つを洗浄していく。ただ環境のことを考慮し、使用する水は1台に付き数リットル程度。時間にして40〜50秒ほどだ。干したあと作業場に移されたウォシュレットは、手作業で便座やフタ、部品などを取り外していく。そしてリサイクル可能な金属については、分別して売却。プラスチック類についてはABS樹脂(アクリルニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)の3つが重合されたもの)やPP樹脂(ポリプロピレン〈polypropylene〉)など数種類に分け、その後、白やアイボリーなどの色ごとにも分ける。質の良いリサイクル樹脂にするためにはシールや部品といった、不純物をきちんと取り除かなければならない。

yd_water.jpgyd_washlet.jpg 高圧水でウォシュレットを洗浄する(左)、洗ったウォシュレットを干している(右)

yd_hand.jpgyd_hand1.jpg 手作業でウォシュレットの部品を取り除く従業員

 「すべて手作業で行うが、回収している使用済ウォシュレットのほとんどが10年以上前のもの。当時はリサイクルを前提にした設計になっていないので、効率良く作業が進まないのが課題だ」という。

 ボールペンの素材として再利用できるプラスチックは約70%、残りの30%については焼却することで、熱エネルギーとして使用する(サーマルリサイクル)。すべての部品が取り除かれたウォシュレットは、色別にベルトコンベアに載せられていく。そして1メートルほどの間隔で破砕機(はさいき)の投入口に入っていくと、「ガガガガガ」と人の声すらも聞き取りにくい音。しばらくすると破砕機の出口からは、1センチほどの大きさになった樹脂片が次々に出てくるという仕組みだ。

yd_set.jpgyd_set1.jpg プラスチック別と色別に分けて置かれている(左)、ベルトコンベアに載せられ、破砕機の中に入っていく(右)

yd_hasai.jpgyd_hasai1.jpg 破砕機から出てくる樹脂を大きな袋に詰めていく(左)、1センチほどの樹脂を手に取ってみる(右)

 ニオイや煙はほとんどなく、ドンドンと樹脂片が大きな袋に詰め込まれていく。一杯になった袋の重さは約500キログラム。その後は業者に配送し、そこでペレット化(工業原料を加工しやすいように粒子状にしたもの)され、ボールペンとしてリサイクルされるのだ。

yd_recycle.jpg ウォシュレットのリサイクルフロー(出典:TOTO)
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