どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(4)東京駅周辺編近距離交通特集(4/4 ページ)

» 2008年10月31日 15時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]
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【25】常磐新線の建設及び延伸

つくばエクスプレス延伸計画の概要

 18号答申公表時には建設中だったつくばエクスプレス。当初の計画にありながら未着手だった東京−秋葉原について、答申では2015年度までに着手するよう求めている。

つくばエクスプレス延伸計画の現状

 何も決定していないが、意外と早く実現する可能性がある。

 つくばエクスプレスは「膨大な建設費に見合うだけの乗客を獲得できるか」という、大きな期待と不安の中で2005年8月に開業した。しかし、開業初年度は1日当たりの乗客数が予想の13万5000人を10万人以上も上回るなど絶好調で、近年の新規建設鉄道ではまれに見る大成功だと言える。

 その後も沿線開発が進むにつれて乗客数は増加、度重なるダイヤ改正で増発を続け、ついに2008年度は24両(4編成)の車両も増やした。つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市交通は、東京駅延伸についてまだ公式にはコメントしていない。建設費を返済中なので、新たな大型投資には慎重にならざるを得ないのだが、その慎重さが高利益をもたらしているとも言えよう。まずは開業区間の充実を優先したい、という意向ももちろんあるはずだ。

東京へ――沿線の人々の希望はかなうか

 東京駅延伸に関する情報は、東京駅延伸を熱望する自治体の方に詳しい。流山市交通計画推進室のWebサイトによると、市議会は積極的に東京駅延伸を関係各方面に働きかけている。また、東京延伸にかかる費用は約1000億円という試算データを挙げ、つくばエクスプレスの経営が現状より悪化せず、東京駅での他路線の乗り換えに十分配慮した場合、30年以内に累積資金収支で黒字に転換できるとした。

 この30年以内という数字は新路線建設の需給予測で1つの目安となっていて、つくばエクスプレスの現行開業区間の建設決定もこの数字が根拠となった。これにならえば、秋葉原−東京の延伸は、国や自治体、運営会社などの合意の上で事業に着手できるレベルだ。

 ただし、すでに触れたように、つくばエクスプレスの営業成績が悪化すれば収支予測も合わなくなる。同Webサイトによれば、2010年度の秋葉原−つくばの輸送人員が目標の27万人を5%下回ると厳しいと見ている。「2010年度に27万人を達成できるか」、この結果次第で現在沈黙している計画は動き出す可能性がある。

青線が開業部分、赤線が延伸部分

 →どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(1)横浜エリア編

 →どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(2)東京エリア編その1

 →どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(3)東京エリア編その2

 →どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(最終回)成田新線・新交通編

 →どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――未来編

 →どうなる、こうなる近畿圏の鉄道網(前編)

 →どうなる、こうなる近畿圏の鉄道網(後編)

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