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» 2008年10月30日 23時15分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:ジュエリーの女性デュオが生み出す“igoにしかできない世界” (1/2)

社会人生活をやめて専門学校へ。そこで出会ったのは、自分と同じような行動を取る女の子だった。褐色の肌と白い肌の2人はシンクロし、やがて共作で“自分たちにしかできないモノ”を造りはじめた……。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の企画・開発・実行、海外駐在を経て、1999年より2008年9月までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略、業務プロセス改革など多数のプロジェクトに参画。 2008年10月1日より独立。コンサルタント、エッセイストの顔に加えて、クリエイター支援事業 の『くらしクリエイティブ "utte"(うって)』事業の立ち上げに参画。3つの顔、どれが前輪なのかさえ分からぬまま、三輪車でヨチヨチし始めた。著書に「ナレッジ・ダイナミクス」(工業調査会)、「21世紀の医療経営」(薬事日報社)、「顧客視点の成長シナリオ」(ファーストプレス)など。中小企業診断士。ブログ→「マーケティング・ブレイン」


 2人だから、生まれるものがある。2人だから、世界を変えられることがある。

 2人――音楽の作詞作曲での合作や二重奏は“デュオ”、バドミントンでは“ペア”、テニスは“ダブルス”、漫才は“コンビ”、企業経営にも“名コンビ”がある。いろいろな表現があるけれど、運命的な2人の出会いがあるとき、その創造の破壊力は計り知れない。

 新進メタルアートデザイナー・デュオの1人、マロッタ忍(しのぶ)さんの指に見えるリング「marquise」は、平面からの立体造形がユニーク。地金から伸ばし、硬いのに柔らかく見える独特な質感を創る。マット仕上げの表現に、エッジをキラリと光らせる技。

ay_go02.jpg マロッタ忍さんが指に着けているのは「marquise」という作品

 デュオのもう1人、山内芙美子(やまうち ふみこ)さんは地図好き。銀と銅の板を何層も重ねた“日本地図”。都道府県ごとのピアスやネックレスになる。大きな地図を部分スキャンし、各県を精密にトレースして抜き型を起こす。精密な境界の再現で問題になったのは“東京都”。

ay_go03.jpg “日本地図”と“デコトラ”

 「埋め立て地、どうしよっか?」「省略する?」「でもお客さまが“そこに私住んでいるの!”と言うかも」――2人はそんな議論の結果、埋め立て地も精密に表現した。全国で東京都のタテヨコ比だけが黄金比率なので、曲げ加工のリングも似合う。地図の左上のペンダントは“デコトラ”だ。ニッポンを走るあっぱれな長距離トラックのペンダント。

 “マットとキラキラ” “県民ジュエリー”ここにしかない存在感があふれる創作は、デュオの“igo(イゴ)”の発想と会話から生まれる。とっても仲のいい2人に、かわいい平屋の一軒家のアトリエで、相棒Cherryさんと私のデュオでお話をうかがった。(以下、本文中の写真撮影はすべて村山桜子さん)

ay_go01.jpg 左がマロッタ忍さん、右が山内芙美子さん

2人の前の1人の頃

 出会いの前に、それぞれをリワインドしよう。マロッタさんは美術系大学でグラフィックデザインを専攻。そのあとデザイン事務所で働いたが、1年で辞めた。グラフィックはPCの中だけ、もっとカタチのあるものに携わりたい。やりたいのはアクセサリー。ずっと趣味でやっていた彫金だ。東急ハンズに通っては、彫金の担当者にあれこれ訊いて作っていた。

 「でも独学じゃだめ。ちゃんと学ぼうと思いました」そのとき24歳。運転免許を持っていた。

 山内さんは美術系ではないフツーの大学でアジア研究を専攻した。アジア研究旅行をしてはシルバージュエリーを買い求めた。大学を卒業後、都内の百貨店に勤めた。売る仕事は自分のやりたいことじゃない、経験はなかったが彫金がしたかった。マロッタさんと同じく、1年で仕事を辞めた。

 「版画や工作は得意だったんです」そのとき23歳。運転免許は持っていたが、ペーパーものだった。

ay_go04.jpg 山内さん作のアトリエの白い工作台。さまざまな道具がぴったり収まる
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