コラム
» 2008年10月30日 07時00分 UPDATE

山崎元の時事日想:新聞の経済記事はどこがダメなのか? (1/2)

「新聞なんてどこも同じ内容」という人もいるが、読み比べると実は“違い”があるもの。しかし山崎氏は「リーマンショック」発生後、新聞の経済記事を読んでいくうちに、いろいろな疑問を感じるようになったという。それは……?

[山崎元,Business Media 誠]

著者プロフィール:山崎元

経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員、1958年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事入社。以後、12回の転職(野村投信、住友生命、住友信託、シュローダー投信、バーラ、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一證券、DKA、UFJ総研)を経験。2005年から楽天証券経済研究所客員研究員。ファンドマネジャー、コンサルタントなどの経験を踏まえた資産運用分野が専門。雑誌やWebサイトで多数連載を執筆し、テレビのコメンテーターとしても活躍。主な著書に『会社は2年で辞めていい』(幻冬舎)、『「投資バカ」につける薬』(講談社)、『エコノミック恋愛術』など多数。ブログ:「王様の耳はロバの耳!


 筆者は『週刊現代』(講談社)で「新聞の通信簿」という新聞を読み比べる連載を書かせてもらっているので、自宅で新聞を6紙購読している(紙の量だけでも整理が大変)。「読売新聞」「朝日新聞」「日経新聞」「毎日新聞」「産経新聞」「東京新聞」の各紙だ。

 新聞を大量に読んでみると、各紙の個性のようなものがあって面白いのだが、9月15日に「リーマンショック」が発生してから、新聞の経済報道にいくつかの問題を感じるようになった。

情報が遅い新聞

 まず、何といっても、新聞は「遅い」。

 どのレベルで経済を見るかにもよるが、株式投資をしている個人投資家くらいの目線で見るとしても、経済にとって重要なニュースの少なくとも半分程度は海外で生じている。最近、ニューヨークの株価の上下に引っ張られる形で、日経平均株価が1日に500円以上動く日が何度もあったが、福田前首相が突然辞任を言い出して政権を投げ出した翌日、日経平均株価は225円しか下がらなかった。自国の内閣の消滅よりも、ニューヨークで1日に起こるニュースの方が、日本の株式市場にとっては重大事なのだ。

 現在、外国の経済ニュースは主として夕刊で報じられる(東京では産経の夕刊がない)。しかし日経には見開き2ページの外国市況欄があり、コンスタントに解説記事もあるが、他紙にはこうした海外市況を伝える決まったフォーマットがない。大きなニュースがあったときに、その場に応じて(悪くいうと「場当たり的に」)記事にしているのだろう。

 日経を読む場合も、夕刊を詳しく読むことの方が大切な場合があるのだが、困ったことに夕刊が配達されるころには、日本の株式市場は閉まっている。つまり日経の夕刊の情報も、大半は、朝、株式市場が始まる前の時点で読まなければ価値を十分発揮しない。

 日経に限らず、各紙いずれも、ネット版をもっと充実させてほしい。特に海外市況と海外の経済ニュースについては、別途ネットページを日経の夕刊並みに(できればそれ以上に)充実させてほしいのだ。

新聞の経済記事に要求すること

 仕事で情報が必要な金融マンは海外のメディアをネットで直接読むだろうが、日本の新聞が、日本の読者の視点で、かつ日本語で、バランス良く海外の市況や経済ニュースを伝えるようになれば、現在の読者には十分ニーズがあると思う(10年後は分からないが)。

 価格設定を考えると、日本市況ニュースもほぼリアルタイムで伝えるようなサービス付きで、日経の読者に対して月額315円くらいまでなら、筆者は契約してもいいと思う。通勤時に携帯で読む読者もいるだろう。念のため申し上げておくと、価格はこの程度が上限であり、例えば「日経ヴェリタス」とセット販売するというような「重たい」設定は嫌われるだろう。

 日経はさすがに慣れている感じがする(時に、そうでない場合もある)が、各紙、市況ニュースの伝え方がこなれていない。株価が大きく動くようなことがあると、それなりに大きな紙面を割いてニュースを伝えるが、マーケットに対する基本的なチェックポイントが一定していないので、記事が読みにくい。例えば、株式市場と債券市場(主に国債市場)を関連付けて見ることは投資家にとっては常識だが、記事の中に、米国の10年債利回りや短期金融市場の様子が読みやすい流れで入っていないことが多い。米国債の利回りが気になって紙面を探し回ることがあるし、それが徒労に終わることさえある。

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