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» 2008年10月22日 20時00分 UPDATE

Webビジネス小説「中村誠32歳・これがメーカー社員の生きる道」:第9話 コンサルタントの掟(おきて) (1/3)

部門横断型の社内プロジェクトを通じて着実に成長してきた誠に、星野仙八は「コンサルタントには3つの掟がある」と教える。背けば信頼も仕事も失うという、3つの掟とは……?

[Business Media 誠]

この物語は……?

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 中村誠、32歳。静岡県出身、東京の中堅私立大学を卒業し、彼女いない歴3年。加工食品メーカー「アイティフーズ」に入社してちょうど10年目を迎える中堅社員です。誠が社会人として働いてきた10年間は、日本経済が停滞し“失われた10年”といわれた時代。年功序列制度が成果主義に代わり、後輩が入らず今までずっと下っ端として働いてきた誠も、そろそろ「中堅社員」と呼ばれる年代になってきました。

 これまでマネジャーとすら呼ばれたことがない誠は、ある日突然、社内プロジェクトのリーダーに登用されます。ビジネスリーダーの心構えとは? 部門横断型のプロジェクトを成功させるコツとは? 本連載では小説形式で、誠が奮闘しながら成長していく姿を描いていきます。

前回までのあらすじ

 新製品開発プロジェクトのリーダーに抜擢された中村誠。どんな商品がいいか、消費者調査を行って決定しようと決断する。総当たり戦では時間がかかりすぎる、と悩む誠に、コンサルタントの星野仙八が教えてくれたのは「パネル分析」という方法だった。(登場人物一覧は記事の最後にあります)


 高濃度な大豆イソフラボンを使った新しい飲料商品を開発せよ――そのプロジェクトのリーダーに抜擢された中村誠。現状を分析して、商品の方向性について仮説を立てたプロジェクトメンバーたちに、いよいよ新製品についての消費者調査(参照記事)を開始する日が迫ってきた。

 今回トライするパネル分析は今までに誠たちが使ったことのない調査方法なので、練習を兼ねてチームで行う予備調査と、外部機関に依頼する本調査の2段階で行うことにした。予備調査の対象サンプルは、アイティフーズの社員と家族の協力を仰ぎ、さまざまな年齢層の男女50人ずつを選んで行う予定だ。

 誠は、慣れない調査に万全を期するため、コンサルタントの星野に電話をかけ、調査実施前のアドバイスをもらおうとしていた。

 師匠、社内で行う予備調査の準備は整いました。例の調査パネル(コンジョイントカード)も作りましたが、ほかに何か注意しておくことはありますか?

星野 調査準備は無事終わったようですね。ところで中村さんは、今のご自身を社内のコンサルタント役だと思っておられますか?

 う〜ん、師匠に褒めていただけるほどではないでしょうけど、自分なりに努力はしているつもりです。

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星野 分かりました。では、調査に入る前に「コンサルタントの掟(おきて)」をお教えしておきましょう。

 「死の谷」の次は「掟」ですか? 師匠の使う表現って、いつもインパクトがありますよね。

星野 まあ商売柄、相手に強く印象付けるような表現を使うことも大切なのですよ。この掟に反しても、すぐに罰則が与えられる類のものではありませんが、守らないでいると周囲の信頼を確実に失うことになるでしょう。

 信頼してもらえなくなる……じゃあ、師匠みたいにプロのコンサルタントだったら、仕事を失うという意味ですか?

星野 そういうことです。特にこれから皆さんが行うような不特定多数に対する調査分析であれば、なおさら注意が必要なのです。

 誠は、気を引き締めて星野の言うことに耳を傾けた。

星野 私たちコンサルタントには3つの掟があります。1つ目は「クライアントの秘密を守る」ということです。プロジェクトを通じて知り得た内部情報は、絶対に外部に持ち出してはなりません。例えば今回の消費者調査結果では、具体的に誰が何を言ったかは特定できないようにする必要があります。

 個人情報保護法とかと同じ意味ですか?

星野 確かにそういう側面もありますが、個人情報保護法自体は氏名、生年月日といった個人のプライバシーを守ることが目的です。それよりも内部情報を悪用して株を売買するといった不正なインサイダー取引などを行ってはならないのです。こうなるとれっきとした犯罪です。

 確かに新製品の発表などは、会社の株価に影響しますよね。

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